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生物学

生物学. 第5回 遺伝子は DNA という分子だった. 和田 勝. 生物学の基本的な枠組み. メンデルが「要素」と呼び、後に遺伝子と呼ばれ、染色体上に載っていると考えられたものの本体は DNA 分子でした。. ワトソン(左)とクリックが DNA の構造(二重ラセン)を解明し、遺伝情報が間違いなく受け渡される仕組みが説明できたのです。. 遺伝子と DNA. これまではメンデルの要素と遺伝子あるいは DNA を、あまり厳密に区別をせずに使ってきました。また遺伝子が染色体に載っているとも言ってきました。これは一体どういうことなのでしょうか?. いよいよその謎解きに入ります。.

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Presentation Transcript


  1. 生物学 第5回 遺伝子はDNAという分子だった 和田 勝

  2. 生物学の基本的な枠組み メンデルが「要素」と呼び、後に遺伝子と呼ばれ、染色体上に載っていると考えられたものの本体はDNA分子でした。 ワトソン(左)とクリックがDNAの構造(二重ラセン)を解明し、遺伝情報が間違いなく受け渡される仕組みが説明できたのです。

  3. 遺伝子とDNA これまではメンデルの要素と遺伝子あるいはDNAを、あまり厳密に区別をせずに使ってきました。また遺伝子が染色体に載っているとも言ってきました。これは一体どういうことなのでしょうか? いよいよその謎解きに入ります。

  4. DNAの発見 DNAが発見されたのは1869年です。ただし、このときは物質としてのDNAが発見されたのであって、機能はまったく不明でした。 ミーシャーが、膿(白血球の死んだもの)から抽出したのです。

  5. DNAの発見 包帯を病院からもらう受けて、ここから細胞成分を洗い出し、これにアルカリ溶液を加えて、核を集めました。 集めた核からリンが豊富な物質を得て、これにヌクレインという名前を付けました。

  6. 遺伝子と染色体 減数分裂時の染色体の動きから、染色体と遺伝子の関係が明確になったというお話をしました。 染色体上に遺伝子が並んでいる?

  7. 遺伝子と染色体 モーガンが、ショウジョウバエを実験材料に使って、実験を開始します。 ショウジョウバエは一世代が短く、突然変異体を比較的容易に作り出すことができたからです。 左が野生型、右が白眼の突然変異体

  8. 遺伝子と染色体 前のスライドの図は、白眼の突然変異体ですが、ここでは二遺伝子雑種の研究についてお話しします。 体色が黒い突然変異体(b)と痕跡翅(vg)となる突然変異体が得られました。いずれも劣性です。体色の野生型をb+とし、痕跡翅の野生型をvg+とあらわすことにします。

  9. モーガンの実験 メンデルの二遺伝子雑種と同じ実験(優性ホモの個体と劣性ホモの個体を掛け合わせ)をおこないました。 雑種第一代は、すべて優性の形質があらわれました。 ところが、雑種第二代では、2つの形質の組み合わせが9:3:3:1になりませんでした。

  10. 二つの形質の場合(第2回から) これまでは一つの形質に注目してきましたが、二つの形質の雑種の場合はどうなるでしょうか。花の色に加えて種子の形をRとします。 FFRR x ffrrとすれば、 雑種第一代はすべて、FfRrとなります。

  11. 雑種第二代は(第2回から) FfRr x FfRrで、FR、Fr、fR、frという組み合わせの、花粉と卵が生じます。これを掛け合わせると、 9:3:3:1になります。

  12. モーガンの実験 そこで、雑種第一代のヘテロの個体と劣性ホモの個体を掛け合わせ(戻し交配)、雑種第一代の2遺伝子の組み合わせを調べました。 もしも2つの遺伝子が別の染色体にあって、独立の法則に従うならば、メンデルの実験の花の色と豆の形と同じくb+vg+、 b+vg、 bvg+、bvgは1:1:1:1となるはずです。

  13. 戻し交配(検定交配)とは FfRr x ffrr(劣性ホモ)の掛け合わせを行うことをいいます。 FR、Fr、fr、frのが1:1:1:1になります。

  14. モーガンの実験 もしも同じ染色体上にあって、完全連鎖をしているなら、 b+vg+とbvgは、1:1のはずです。 実験の結果、b+vg+、 b+vg、 bvg+、bvgは965:206:185:944でした。 この結果は、2つの遺伝子が同じ染色体上にあり、遺伝子の組み換えがおこったことを示しています。

  15. 生殖細胞が作られる時 2つの遺伝子は別の染色体 b+ b vg+ vg

  16. 生殖細胞が作られる時 2つの遺伝子は同じ染色体で近接(完全連鎖) b+ b vg+ vg

  17. 生殖細胞が作られる時 2つの遺伝子は同じ染色体で離れている(不完全連鎖) 染色体の乗換え(交差、交叉)によって、染色体の組み換えが起こる

  18. モーガンの実験

  19. 遺伝子の組み換え そこで組み換え率を計算してみました。 組換え体 206+185 x100=17% 全体の数 965+206+185+944 2つの遺伝子座が、近ければ組み換えは起こりにくく、遠ければ起こり易いと考えられます。

  20. 染色体地図 そこで組み換え率は距離に比例すると仮定し、3つの遺伝子の2つづつを組み合わせて組み換え率を求め、3つの遺伝子の並び方を推定しました。 新しく同じ染色体上のcn(眼の色の突然変異体)で実験したところ、bとcnの組み換え率は9%、vgとcnは9.5%でした。

  21. 17% 17% 9% 9.5% cn b vg b vg cn X X 17% cn b vg 9% 9.5% 染色体地図 すでにbとvgは17%だと分かっているので、

  22. 染色体地図 こうして、いろいろな突然変異体を使い遺伝子座の配列を調べていった結果、4つの連鎖群(ショウジョウバエの染色体は8本)があることが分かり、遺伝子座の相対的な配列が明らかとなりました。 遺伝子は染色体上に、ビーズが並ぶように線状に配列していることが確認されたことになります。

  23. 染色体地図

  24. 遺伝子の本体 当時は、遺伝という現象は複雑なので、タンパク質が遺伝子の本体であろうと漠然と考えていました。 遅れてDNAが遺伝情報を担っているのではないかという研究があらわれます。 細菌やウイルスが使われました。

  25. 遺伝子の本体 さて、ようやく遺伝子の本体です。 詳しいことは省略しますが、遺伝子はタンパク質ではなく、ミーシャーが発見したヌクレイン(DNA)であることが明らかになります。 それでは、DNAというのはどんな分子なのでしょうか。

  26. DNAの構造 ヌクレインとして発見されたDNAは、4種類のヌクレオチドのポリマーです。 + =ヌクレオシド ヌクレオシドにリン酸がついたものがヌクレオチド

  27. DNAの構造 シャルガフはDNAの塩基の組成を調べ、4種の塩基の比は等しくないが、AとTおよびGとCの量が等しいという関係があることを見つけます。 したがってプリン塩基(A+G)=ピリミジン塩基(T+C)という関係があることを明確にしました。

  28. DNAの構造 ワトソンとクリックの出会い DNAの構造を解くことが生命の謎に肉薄できることをお互いに考えていたことで意気投合し、DNAの構造模型を組み立て始めます。 あるとき、塩基が相補的に水素結合を作ることができることに気が付きます。

  29. 塩基の相補性 A T C G

  30. DNAの構造 フランクリンの撮影したX線回折像とシャルガフの通則にピッタリかなう構造をくみ上げることに成功。 二重ラセン構造模型を提出(1953年)

  31. DNAの構造

  32. DNAの構造 DNAの構造をJmolを使って見てみましょう。 http://www.ecosci.jp/pdb/dna_rna.html 上記のWebSiteにアクセスすれば見ることができます。また「分子の形と性質」学習帳というサイトも役立ちます。

  33. DNAの構造 このDNAモデルによって、片方が決まれば塩基の相補性によって、もう一方も自動的に決まるので、体細胞分裂のときにDNAが誤りなく、2つの娘細胞に伝えられることが説明できたのです。

  34. DNAからタンパク質へ それでは、4種類しかない塩基でどうやって20種類のアミノ酸を決めているのでしょうか。 3つの塩基が1つのアミノ酸を指定していると考えれば、説明がつきます。 実際にこの仮説が正しいことが証明されます。塩基の3つ組をコドンといいます。

  35. DNAからタンパク質へ セントラルドグマ DNAは核から外に出ないので、DNAとタンパク合成の間を取り持つメッセンジャーが必要だと予言されました。これがmRNAです。

  36. DNAからタンパク質へ 実際に人工合成したmRNAを使ってタンパク質を試験管の中で合成させ、これを分析して暗号を解読しました。 最初にUUUがフェニルアラニンをコードしていることがわかります。 こうしてコドンとアミノ酸の対応表が解明されました。

  37. 2番目の塩基 T C A G 1 番 目 の 塩 基 T Phe Ser Tyr Cys T 3 番 目 の 塩 基 Phe Ser Tyr Cys C Leu Ser Stop Stop A Leu Ser Stop Trp G C Leu Pro His Arg T Leu Pro His Arg C Leu Pro Gln Arg A Leu Pro Gln Arg G A Ile Thr Asn Ser T Ile Thr Asn Ser C Ile Thr Lys Arg A Met Thr Lys Arg G G Val Ala Asp Gly T Val Ala Asp Gly C Val Ala Glu Gly A Val Ala Glu Gly G DNAからタンパク質へ

  38. 遺伝の本体 遺伝子型   →    表現型 (genotype)        (phenotype) DNA     →    タンパク質

  39. DNAからタンパク質へ DNAの5’→3’の並び方 アミノ酸のN末端からC末端への並び方 《ただし3つの塩基(コドン)が 1つのアミノ酸を指定》

  40. DNAからタンパク質へ こうして、染色体を構成しているタンパク質とDNAのうち、DNAに遺伝情報が書き込まれていることが明かになります。 3つの塩基の組み合わせ(コドン)がアミノ酸を指定(コード)しているのです。 塩基が変わればコードするアミノ酸が変わり、タンパク質が機能を失うことがあります。これが突然変異です。

  41. もう一度、大まかな復習 タンパク質とDNAは、まったく異なる分子です。 タンパク質 DNA 20種類のアミノ酸が、鎖状につながったもので、側鎖の並び方に意味がある(形を通して機能を決めている) 4種類のヌクレオチドが、鎖状につながったもので塩基(ATCG)の並び方に意味がある

  42. もう一度、大まかな復習 タンパク質とDNAは、まったく異なる分子です。 タンパク質 DNA 本当はもっと長いが、、 こっちが設計図 こっちが実働部隊

  43. ヒトHoxA13遺伝子DNA SQ Sequence 1167 BP; atgacagcct ccgtgctcct ccacccccgc tggatcgagc ccaccgtcat gtttctctac 60 gacaacggcg gcggcctggt ggccgacgag ctcaacaaga acatggaagg ggcggcggcg 120 gctgcagcag cggctgcagc ggcggcggct gccggggccg ggggcggggg cttcccccac 180 ccggcggctg cggcggcagg gggcaacttc tcggtggcgg ccgcggccgc ggctgcggcg 240 gccgccgcgg ccaaccagtg ccgcaacctg atggcgcacc cggcgccctt ggcgccagga 300 gccgcgtccg cctacagcag cgcccccggg gaggcgcccc cgtcggctgc cgccgctgct 360 gccgcggctg ccgctgcagc cgccgccgcc gccgccgcgt cgtcctcggg aggtcccggc 420 ccggcgggcc cggcggcggc agaggcggcc aagcaatgca gcccctgctc ggcagcggcg 480 cagagctcgt cggggcccgc ggcgctgccc tatggctact tcggcagcgg ctactacccg 540 tgcgcccgca tgggcccgcc ccccaacgcc atcaagtcgt gcccccagcc cccctcggcc 600 gccgccgccg ccgccttcgc ggacaagtac atggataccg ccggcccagc tgccgaggag 660 ttcagctccc gcgctaagga gttcgcgttc taccaccagg gctacgcagc cgggccttac 720 caccaccatc agcccatgcc tggctacctg gatatgccag tggtgccggg cctcgggggc 780 cccggcgagt cgcgccacga acccttgggt cttcccatgg aaagctacca gccctgggcg 840 ctgcccaacg gctggaacgg ccaaatgtac tgccccaaag agcaggcgca gcctccccac 900 ctctggaagt ccactctgcc cgacgtggtc tcccatccct cggatgccag ctcctatagg 960 agggggagaa agaagcgcgt gccttatacc aaggtgcaat taaaagaact tgaacgggaa 1020 tacgccacga ataaattcat tactaaggac aaacggaggc ggatatcagc cacgacgaat 1080 ctctctgagcggcaggtcac aatctggttc cagaacagga gggttaaaga gaaaaaagtc 1140 atcaacaaac tgaaaaccac tagttaa 1167

  44. HoxA13タンパク質 10 20 30 40 50 60 MTASVLLHPR WIEPTVMFLY DNGGGLVADE LNKNMEGAAA AAAAAAAAAA AGAGGGGFPH 70 80 90 100 110120 PAAAAAGGNF SVAAAAAAAA AAAANQCRNL MAHPAPLAPG AASAYSSAPG EAPPSAAAAA 130 140 150 160 170 180 AAAAAAAAAA AAASSSGGPG PAGPAGAEAA KQCSPCSAAA QSSSGPAALP YGYFGSGYYP 190 200 210 220 230 240 CARMGPHPNA IKSCAQPASA AAAAAFADKY MDTAGPAAEE FSSRAKEFAF YHQGYAAGPY 250 260 270 280 290 300 HHHQPMPGYL DMPVVPGLGG PGESRHEPLG LPMESYQPWA LPNGWNGQMY CPKEQAQPPH 310 320 330 340 350 360 LWKSTLPDVV SHPSDASSYR RGRKKRVPYT KVQLKELERE YATNKFITKD KRRRISATTN 370 380 390 LSERQVTIWF QNRRVKEKKVINKLKTTS アミノ酸が388個、つながったタンパク質です(一つのアルファベットが一つのアミノ酸を表しています)。

  45. DNAとタンパク質 つまり、DNA(の塩基の配列)はアミノ酸の並び方を決めている指令書(だから遺伝子)なのです。 タンパク質 DNA 3つの塩基(コドン)が1つのアミノ鎖 指令書に従って20種類のアミノ酸の配列が決まる この間を取り持つものがRNA

  46. DNAからタンパク質へ 設計図(遺伝情報、DNA) 転写(transcription) 遺伝情報とタンパク質の仲立ちとなるRNA 翻訳(translation) タンパク質が構造と機能を実現 (セントラル・ドグマ)

  47. DNAからタンパク質へ セントラルドグマ DNAは核から外に出ないので、DNAとタンパク合成の間を取り持つのがメッセンジャーRNA(mRNA)です。

  48. 細胞の模式図

  49. サイトゾール 核 DNA リボソーム mRNA 細胞膜 粗面小胞体 ゴルジ装置 原料のアミノ酸

  50. DNAからタンパク質へ 1)DNAからmRNAへ この過程は、図書室で必要な本(染色体)を広げ、必要な箇所(遺伝子)の塩基配列をmRNAへ書き写す(コピーする)過程です。 この過程を転写(transcription)と呼びます。

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