1 / 35

文語文法・動詞活用早わかり

文語文法・動詞活用早わかり. 2006.6 金水 敏. 動詞活用:口語(現代語)と文語. 動詞活用の型には、口語(現代語)と文語との間に、 歴史的変化 によって結ばれた、強い対応関係がある。 歴史的変化の方向性を知れば、現代語の動詞活用から、文語の活用を推測することができる。. 口語と文語の活用の対応.    口語            文語   五段活用       四段活用     書く、笑う、飛ぶ …                ラ行変格活用  あり、をり、~なり、~たり …                ナ行変格活用  死ぬ、去ぬ、~ぬ …

erimentha
Télécharger la présentation

文語文法・動詞活用早わかり

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 文語文法・動詞活用早わかり 2006.6 金水 敏

  2. 動詞活用:口語(現代語)と文語 • 動詞活用の型には、口語(現代語)と文語との間に、歴史的変化によって結ばれた、強い対応関係がある。 • 歴史的変化の方向性を知れば、現代語の動詞活用から、文語の活用を推測することができる。

  3. 口語と文語の活用の対応    口語            文語   五段活用       四段活用    書く、笑う、飛ぶ…                ラ行変格活用 あり、をり、~なり、~たり…                ナ行変格活用 死ぬ、去ぬ、~ぬ…                (下一段活用) 蹴る   上一段活用      上二段活用  起く、落つ、恥づ…                上一段活用  見る、居る、似る…   下一段活用      下二段活用  受く、とどむ、~る・らる…   カ行変格活用     カ行変格活用 来   サ行変格活用     サ行変格活用 す

  4. 口語・動詞活用の整理 • 活用の型の見分け方 • まず、カ変とサ変を覚えよう→来る、する • 打ち消しの「~ず」で全て見分けがつく。  「~ず」の前がア列→五段活用(書かず)  「~ず」の前がイ列→上一段活用(起きず)  「~ず」の前がエ列→下一段活用(受けず)         サ変(せず)cf. 「~ない」なら「受けない」「しない」  「~ず」の前がオ列→カ変(こず)

  5. 動詞活用の歴史的変化の原理 • 最も重要なのは、「終止形と連体形の合流」「二段活用の一段化」 • 五段(四段)活用の音便の義務化 • ナ変と下一段(蹴る)は特殊な動き • 地域的な違いに注意:文語文法は西日本型文法、現代口語文法は東日本型文法

  6. 五段活用(口語)と四段活用(文語)はほとんど同じ五段活用(口語)と四段活用(文語)はほとんど同じ 「書く」 口語 文語

  7. 四段活用(文語)とラ行変格活用(文語)の違いは終止形四段活用(文語)とラ行変格活用(文語)の違いは終止形 ラ変(文語)「あり」 四段(文語)「刈る」

  8. ラ行変格活用は文語文法にとって重要 • 本動詞:あり、をり、はべり、いまそがり(いますかり) • 断定の助動詞、形容動詞語尾:「今日は雨なり」「明らかなり」 • 形容詞カリ活用:「美しかりけり」 • さまざまな助動詞:「~り」「~たり」「~なり」(断定・推量)「~けり」「~めり」

  9. 上一段活用(口語)と上二段活用(文語) 「起きる」 口語 文語

  10. 上一段活用(文語)と上二段活用(文語) 上一(文語)「着る」 上二(文語)「起く」

  11. 文語における上一段と上二段 • 「射る」「着る」「似る」「煮る」「居(ゐ)る」等、一音節動詞→一音節動詞の上二段動詞は存在しない • 多音節動詞の上二段活用動詞:「うしろみる」「かへりみる」「かんがみる」「ひきゐる」「もちゐる」等(一音節動詞を後部に持つ複合動詞が多い)

  12. 下一段活用(口語)と下二段活用(文語) 「受ける」 口語 文語

  13. 下二段活用(文語)の助動詞 下二(文語)「~つ」 下二(文語)「~る・らる」

  14. 活用の「段」とは何か • 五十音図の列(段)のこと か き               上二段 く   四段五段 け                      下二段 こ

  15. カ行変格活用(口語)とカ行変格活用(文語)カ行変格活用(口語)とカ行変格活用(文語) 「来る」 口語 文語

  16. サ行変格活用(口語)とサ行変格活用(文語)サ行変格活用(口語)とサ行変格活用(文語) 「する」 文語 口語 カ変・サ変は、一・二段活用に近い

  17. ナ行変格活用(文語)は、四段活用と二段活用の混合ナ行変格活用(文語)は、四段活用と二段活用の混合 ナ変(文語)「死ぬ」 ここまでは四段 ここからは二段 ここは四段

  18. ナ行変格活用(文語)の助動詞 ナ変(文語)「~ぬ」 • 動詞連用形に「去(い)ぬ」が膠着したものか。咲き+いぬ>咲きぬ

  19. 終止形と連体形の合流 • 終止形の機能文の終止:「男、あり」一部の助詞の接続:「我が思う人はありや」 • 連体形の機能連体修飾:「夫ある人」準体句の形成:「猫の縞あるをもとめけり」一部の助詞・助動詞の接続:「夫あるなり」文の終止(係り結び、連体形終止文):「鹿ぞ鳴くなる」「雀の子をいぬきが逃がしつる」 • 連体形とも重複する終止形の機能を、連体形が奪う  → 一種の「リストラ」

  20. 四段動詞・上一段動詞の終止形と連体形 • 四段動詞・上一段動詞は、終止形と連体形が表記の上で同形に見える。 • しかし、これらの動詞でも、終止形と連体形では、アクセントが異なることが知られている。 • 終止形・連体形の合流後は、終止形のアクセントが消滅する。つまり、全ての動詞において、終止形はリストラされた。

  21. 合流の効果:ラ行変格活用の消滅 ラ変(文語)「あり」 →四段に合流 四段(文語)「刈る」

  22. 二段活用の一段化:上一段と上二段の合流 上一(文語)「着る」 上一へ合流← 上二(文語)「起く」 おきる おきれば

  23. 下二段活用は下一段へ 下二段「受くる」 →下一段「受ける」 うける うければ

  24. ナ行変格活用が四段活用へ合流 ナ変「死ぬる」 →四段「死ぬ」 • 終止・連体の合流のあと、多数派の四段活用に吸収 しぬ しねば

  25. 「蹴る」の特殊な動き • 上代:ワ行下二段活用「くゑず:くゑたり:くう」(くゑはららかす) • 中古:カ行下一段活用「けず:けたり:ける」 • 近世:ラ行四段活用:「けらぬ:けった:ける」

  26. 四段活用から五段活用へ • 「かかむ」→「かかん」→「かかう」→「かこう」kakamu→kakaN→kakau→kakooという経路を経て、オ列活用語尾が発生cf. 「神戸」の発音

  27. 音便の義務化 • 平安時代、四段(五段)動詞連用形に「て」「たり」「つ」等が付いたときに音便化(義務的でない)※他にも、「去んぬる」「おはんぬ」等 • 室町時代、音便形が義務的になる。イ音便:「書いた」(カ行)「指いた」(サ行)※サ行イ音便は後になくなるイ音便+濁音:「漕いだ」(ガ行)ウ音便:「仕舞うた」(ハ行→アワ行)撥音便+濁音:「呼んだ」(バ行)「読んだ」(マ行)          「死んだ」(ナ行〈もとナ変〉)※「呼うだ」「読うだ」等の形式が用いられた時期もある

  28. カ行変格活用とサ行変格活用の変化 カ変「来る」 サ変「する」 せぬ こぬ こい せい

  29. 西日本系活用と東日本系活用 • 打ち消し「書かぬ」→関西・西日本方言の「書かん」 • 一段活用・サ変の命令形「受けよ」「せよ」→関西・西日本方言の「受けい」「せい」 • アワ行五段活用のウ音便「仕舞うた」→関西・西日本方言に受け継がれる。 • 「書かない」「受けろ」「しろ」「仕舞った」は東日本系 →江戸語から東京語、共通語へ

  30. 活用形の東西方言の境界線 著作権に配慮して、図版を削除しましたl。

  31. 再び口語と文語の活用の対応    口語            文語   五段活用       四段活用    書く、笑う、飛ぶ…                ラ行変格活用 あり、をり、~なり、~たり…                ナ行変格活用 死ぬ、去ぬ、~ぬ…                (下一段活用) 蹴る   上一段活用      上二段活用  起く、落つ、恥づ…                上一段活用  見る、居る、似る…   下一段活用      下二段活用  受く、とどむ、~る・らる…   カ行変格活用     カ行変格活用 来   サ行変格活用     サ行変格活用 す

  32. 形容詞:ク活用とシク活用 ク活用形容詞 シク活用形容詞 区別がなくなる い い

  33. 形容詞:カリ活用(補助活用) • 形容詞に助動詞を接続するため、「あり」の力を借りてカリ活用が成立あかく+あり>あかかり • 従って、ラ行変格活用 • 終止形・已然形は通常用いられない。例外「多かり」 • 「あかかった」はカリ活用起源

  34. 形容動詞・断定の助動詞 形容動詞 断定の助動詞

  35. 形容動詞・断定の助動詞 • に+あり>なり (従ってラ変型) • 形容動詞連体形「あきらかなる」>「あきらかな」 • 現代語の終止形は「~にて+あり」>「~である」から • ~である>~でぁ> ~じゃ (西日本)             ~だ  (東日本など)

More Related