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インクルージョン時代の 障害理解と生涯発達支援. 第3章 聴覚障害の理解と生涯発達支援 担当 志賀. 第1節 生理・心理の視点から. 1.1 聴覚の構造と機能 伝音系:音波の機械的振動を伝えるための仕組み。外耳+中耳 感音系:振動を神経のパルスに変換し中枢に伝える仕組み。蝸牛→脳幹→大脳皮質聴覚野 ( Heschl 回 ) 聴覚中枢路:脳幹より大脳皮質聴覚野に至るまでの経路. 1.2 聴覚障害の種類と特徴 伝音難聴:伝音系が障害される。補聴器の使用で聞き取りは比較的よい。外耳道閉鎖や中耳炎など。
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インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援インクルージョン時代の障害理解と生涯発達支援 第3章聴覚障害の理解と生涯発達支援 担当 志賀
第1節 生理・心理の視点から • 1.1 聴覚の構造と機能 伝音系:音波の機械的振動を伝えるための仕組み。外耳+中耳 感音系:振動を神経のパルスに変換し中枢に伝える仕組み。蝸牛→脳幹→大脳皮質聴覚野(Heschl回) 聴覚中枢路:脳幹より大脳皮質聴覚野に至るまでの経路
1.2 聴覚障害の種類と特徴 伝音難聴:伝音系が障害される。補聴器の使用で聞き取りは比較的よい。外耳道閉鎖や中耳炎など。 感音難聴:感音系が障害される。補聴器による効果は個人差がある。胎生期の原因、遺伝、後天的なもの。 混合難聴:伝音系も感音系も障害がある。中耳炎から内耳炎を併発など。
1.3CAPD(中枢性聴覚処理障害) CAPD:聴覚に障害がなくても語音の認知などに苦手な面をもつ中枢の障害。学習障害のひとつのタイプ。 〈特徴〉 ・聴覚的注意の低下 ・音の選択困難 ・音の弁別困難 ・聴覚的記憶の低下
1.4 補聴器の効用と限界 感音難聴の聞こえにくさの症状 ・小さい音が聞こえない ・大きい音が苦手 ・はっきり聞こえない ↑ 補聴器のできること ・音圧の増減 ・音質の調整 ・出力の制限 「はっきり聞こえない」を補う機能は補聴器にはない!
第2節 保育・早期発達支援の視点から • 2.1 聴覚障害の早期発見と早期支援のシステム 新生児聴覚スクリーニング検査:聴覚障害の早期発見・早期療育を図るために行われている。厚生労働省が定めた「新生児聴覚検査事業実施要項(2000年10月)」 自動聴性脳幹反応(AABR)や耳音響放射(OAE)といった生理的反応を指標として乳児の聴覚障害をスクリーニングする方法
2.2 療育・保育専門機関における発達支援 特別支援学校幼稚部:1215人在籍(平成23年) 児童発達支援センター:109施設 3809人(平成24年) 地域の実情や子どもの実態などに応じて複数の機関で支援を受けることを希望する場合もある=各機関間での十分な連携にもとづく支援が不可欠
2.3 幼稚園・保育所における聴覚障害児の保育2.3 幼稚園・保育所における聴覚障害児の保育 通常の幼稚園や保育所に通う子ども:特別支援学校などの近隣の専門機関においても定期的にケアを受けている場合が多い。 =専門機関の担当者と保育士との連携、十分な情報交換が重要
2.4 保護者・家族への支援 〈早期発達支援における保護者の援助の具体的な観点〉 ①共感にもとづく心理的援助 ②障害や発達に関する知識や情報の提供 ③コミュニケーションのとり方や子どもの行動を理解するための実践的援助 ④家族や地域の人々と協力し合えるような環境の調整 + 実務面でのサポート
第3節 教育の視点から • 3.1 聴覚障害児の就学と教育形態 義務教育段階の年齢に達した聴覚障害児: 特別支援学校、難聴特別支援学級、通常学校(通級も含む)のいずれかで教育を受ける 特別支援学校:120校 8533名 難聴特別支援学級:828学級 1329名 (文部科学省、平成23年) 補聴器あるいは人工内耳を装用している児童生徒が在籍している学校:小学校約12%、中学校約14%
3.2 教育課程の編成と授業 音声情報の入力が制限されることによりコミュニケーションに困難を示す子どもが少なくない→補聴機器による聴覚活用を基本としながらも、様々な方法を用いてコミュニケーションの力を培うことが中心的な課題。 小学部以降:文字言語の読み書きの力 中学部・高等部:個々の子どもの自立を目指した取り組み
個別の教育支援計画:個々の子どもについて幼児期から成人期に至るまでの発達的見通しをもったもの 個別の教育支援計画:個々の子どもについて幼児期から成人期に至るまでの発達的見通しをもったもの 特別支援学級や通級による指導:自立活動的内容や教科学習の補修的指導などが中心的な内容
3.2 聴覚障害児の指導法ー多様なコミュニケーション方法3.2 聴覚障害児の指導法ー多様なコミュニケーション方法 これまでの指導法:聴覚口話法→視覚的手段の併用 最近:手話や指文字を幼児期の段階から積極的に使用 「どのような子どもに対して、どのような場面で、どのような方法が有効か」という点を追及していくことが求められる
3.4 自立活動・交流及び共同学習 特別支援学校における自立活動のテーマ: 「言語・コミュニケーション」「障害認識」「対人行動・社会生活」 「聞こえる世界」:聴覚障害児が通常学校や地域の人々との交流や共同学習で知る。 「聞こえない世界」:通常学校の生徒が聴覚障害児との交流で知る。 二つの世界について認識を深めることが聴覚障害児の「自立」を促すために重要
第4節 移行支援・福祉の視点から • 4.1 身体障害者手帳 身体障害者:身体障害者福祉法において定められる障害の範囲と程度に合致するという医師の診断を受け、身体障害者手帳の交付を受けたもの。 聴覚障害の等級は6級から2級まで4つ。数字が小さいほど聴力障害が重い。 補装具:障害者等の身体機能を補完・代替する用具。補聴器など。 日常生活用具:障害者の日常生活がより円滑に行われるための用具。聴覚障害者用通信装置や聴覚障害者用情報受信装置など。
4.2 職業生活 専攻科:専門の職業人(スペシャリスト)の育成を目的としている。美容や理容、歯科技工などが主。 職場での定着率の低さ =人間関係などの様々な壁 聴覚障害は困難さが理解されにくく、コミュニケーションに障害があるために周囲の無理解や誤解が少なくない。
4.3 福祉施設 聴覚障害者の利用する福祉施設:職業技術を身に着けたり自立生活に向けての更生訓練を受けたりするための更生施設が中心。 聾重複障害者専門の認可施設:ふれあいの里どんぐり、たましろの郷、いこいの村、なかまの里
4.4 社会参加の促進 コミュニケーション支援事業:手話通訳者や要約筆記者を派遣・設置するなど。市町村が実施する地域生活支援事業のひとつ。