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風のゆらぎと音楽 (風のいやし効果)

風のゆらぎと音楽 (風のいやし効果). 日本気象予報士会・静岡支部 松岡賢也. 最近、癒しの効果として気象と音楽が注目を浴びている。四季の景色をめでながら、空の雲の流れをながめている時や、心地良い微風を肌に触れていると心が和む事はよく経験することである。穏やかな気象は自然の持つ魅力の一つである。芸術的センスのある人はこの自然現象に音楽を感じ取るのである。元大阪管区気象台長の粋人・ 股野宏志 氏はまさにこのような人物の一人である。氏によると気象と音楽の関係は次のようになるという。  気象の奏でる音楽として;      雨だれの曲     ショパン

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風のゆらぎと音楽 (風のいやし効果)

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Presentation Transcript


  1. 風のゆらぎと音楽(風のいやし効果) 日本気象予報士会・静岡支部 松岡賢也

  2. 最近、癒しの効果として気象と音楽が注目を浴びている。四季の景色をめでながら、空の雲の流れをながめている時や、心地良い微風を肌に触れていると心が和む事はよく経験することである。穏やかな気象は自然の持つ魅力の一つである。芸術的センスのある人はこの自然現象に音楽を感じ取るのである。元大阪管区気象台長の粋人・股野宏志氏はまさにこのような人物の一人である。氏によると気象と音楽の関係は次のようになるという。最近、癒しの効果として気象と音楽が注目を浴びている。四季の景色をめでながら、空の雲の流れをながめている時や、心地良い微風を肌に触れていると心が和む事はよく経験することである。穏やかな気象は自然の持つ魅力の一つである。芸術的センスのある人はこの自然現象に音楽を感じ取るのである。元大阪管区気象台長の粋人・股野宏志氏はまさにこのような人物の一人である。氏によると気象と音楽の関係は次のようになるという。  気象の奏でる音楽として;      雨だれの曲     ショパン      エルウラカン(台風)ドナート      田園         ベートーベン      四季         ビバルディー  気象の情景が奏でる音楽;      テンペスト     ベートーベン      月光        ベートーベン      田園         ベートーベン

  3. 気象の情緒が奏でる音楽;    (一)春を主題とする音楽で気象を聞く              例 シューマンの第1交響曲(春、変ロ長調)    (二)標題音楽で気象を聞く              例 バロック音楽(ビヴァルディ等)    (三)歌曲で気象を聞く    (四)ムード音楽で気象を聞く              例 ポールモリア 大気の流れが奏でる音楽;  大気の流れが奏でる音楽は、偏西風をキーワードとして、気象と音楽と環境が三位一体となって聞く者に心の安らぎを与える音楽で今、流行の言葉で言えば癒しの音楽である。

  4. 股野宏志氏 は高層天気図に注目し約一万㍍のジェット気流に注目した。北の寒帯前線は蛇行が激しいので音楽には向かないと考え、南の亜熱帯ジェット気流の方が音楽的であると判断した。亜熱帯ジェット気流は5700㍍等高線が対応しているため、大気が奏でる音楽ではもっぱら5700㍍等高線の波形を用いた。

  5. ここにおいて偏西風波動を音楽に変換する方法として次の方法をとった。経度0°(グリニッジ)を起点として、そこから東に経度5°ごとに亜熱帯ジット気流に対応する5700㍍等高線が占める緯度を読み取った72個の緯度点が形成する波形が音に変換され、メロディーの源となった。ここにおいて偏西風波動を音楽に変換する方法として次の方法をとった。経度0°(グリニッジ)を起点として、そこから東に経度5°ごとに亜熱帯ジット気流に対応する5700㍍等高線が占める緯度を読み取った72個の緯度点が形成する波形が音に変換され、メロディーの源となった。

  6. このようにして氏の考案による大気の流れが奏でる音楽は以下のようにCD化された。このようにして氏の考案による大気の流れが奏でる音楽は以下のようにCD化された。          「The Air Ⅰ」          「The Air Ⅱ」  ラジオの深夜番組で人気を集めた「ジェット・ストリーム」でしばらくの間、この曲がバックグランドに流されて、聴衆者に高層を流れるジェット気流をイメージさせた。     参考文献:「気象と音楽と詩」股野宏志著 成山堂(気象ブック005)

  7.  同様に静岡産業大情報学部(藤枝市駿河台)の高橋恒介教授(65)も気象から音楽に変換する試みを実施した。世界の気象データを音楽で表現する研究成果をまとめ、CDにまとめた。世界の百四十五都市の二〇〇一年の気温と降水量を楽譜に変換し、コンピューターで演奏した。高橋教授は「常識を覆す試みだが多くの人に気象に興味を持ってもらえれば」と話している。 同様に静岡産業大情報学部(藤枝市駿河台)の高橋恒介教授(65)も気象から音楽に変換する試みを実施した。世界の気象データを音楽で表現する研究成果をまとめ、CDにまとめた。世界の百四十五都市の二〇〇一年の気温と降水量を楽譜に変換し、コンピューターで演奏した。高橋教授は「常識を覆す試みだが多くの人に気象に興味を持ってもらえれば」と話している。  「数十年後、二十一世紀初頭の気象データ音楽から、耳で何かを感じ取れるのでは」と期待し、「気象の変化を示すため、十年後、二十年後にもCDを制作したい」と力を込めた。 問い合わせは高橋教授の研究室:〈電054(646)5443〉へ  備考:静岡新聞(夕刊)平成19年(2007年)1月6日(土曜日)にて発表

  8. ゆらぎの世界(気象と音楽)  近代になって研究が進んできたゆらぎの世界で風と音楽を分析すると生体機能との密接な関係があることが判明してきたのでここでそれらについて言及してみたい。  「ゆらぎ」とは物理学的にいうと、ある量が平均値を中心にして時間的または空間的に変動する現象として定義されています。人間の心拍の例でいうと、平均心拍が1分間に60回だったとして、それがある時は61回になったり、59回になったりするのがまさにゆらぎなわけです。一般にゆらぎが小さいほど規則的であり(予測可能)、ゆらぎが大きいほど不規則である(予測不可能)ということができます。

  9.  ゆらぎの大きさを定量的に表すにはどのような尺度を用いればよいのでしょうか? 実は昔から物理の分野では周期的な現象を解析するには周波数領域に変換してから行うと本質的なものが見えてくるということが知られています。これは言い換えればスペクトルに分解するということです。 ゆらぎの大きさを定量的に表すにはどのような尺度を用いればよいのでしょうか? 実は昔から物理の分野では周期的な現象を解析するには周波数領域に変換してから行うと本質的なものが見えてくるということが知られています。これは言い換えればスペクトルに分解するということです。  数学的な手法にフーリエ変換というものがあります。数学的な説明は難しくなるのでここでは割愛しますが、要約すれば「あらゆる周期的な波は周波数の異なる正弦波の重ね合わせで表すことができる」ということです。この定理はフランスのフーリエという数学者によって証明され、現在では物理や工学のあらゆる分野で応用されています。

  10. ゆらぎの定量化  ゆらぎの程度とスペクトルの関係がわかったところで、ゆらぎを定量化する方法に移りましょう。ゆらぎが全くない場合はスペクトルが特定の周波数だけに集中し、ゆらぎが不規則である場合はスペクトルがすべての周波数に渡って均等に分布します。ではその中間はどうなるのかと言いますと、一般的には周波数が高くなるにつれて徐々に減少していくような曲線を描きます。周波数をf(frequency)、スペクトルの強さをP(Power)として、これを数式で表すと一般的には次のような関数になります。    P = 1/fλ  実際は周波数もスペクトルの強さもかなり広い範囲におよぶため、こういうときは対数をとって表示するのが便利です。そこで両辺の対数をとると、 log P = -λlog f となり、log fを横軸、log Pを縦軸にとると、そのグラフはつぎの図のように傾きを-λとする直線となります。

  11.   ここでゆらぎを表現する三種類の勾配が現れる。勾配0の水平直線の    、勾配-1の    勾配-2の  である。この中で勾配が-1の   直線を持つものを1/f ゆらぎとよんでいる。 この1/f ゆらぎは最初、電気回路中に発生する雑音の中で発見されたため1/f 雑音と呼ばれた。  ここにおいて    雑音は不規則性を、    雑音は不規則性と規則性を、   雑音は規則性が強い事を表す指標となった。

  12.  1/f 雑音は、真空管のショットノイズの研究中に発見された。1927年にこの現象を発見した2人のベル研究所の研究者ジョン・ジョンソン、及びハリー・ナイキストの名前からこのノイズはジョンソン・ノイズまたはジョンソン・ナイキスト・ノイズとも呼ばれる。 これは後に1/f 雑音とか1/f ゆらぎと呼ばれた。それはこの雑音が完全にランダムでなくパワースペクトルが低周波側で高く、高周波になるに従って低くなるという不思議な特性を持っていたためである。  電子回路中に発生する雑音はゆらぎを持っており、これをフリッカー雑音とかピンクノイズと呼ばれます。又1/f ゆらぎと呼ばれています。規則性と不規則生を持っている。一方不規則な白色雑音はホワイトノイズ   雑音と呼ばれています。何も映っていないテレビ画像の映像がこれにあたります。又規則性の強いものをブラウン雑音    雑音といいます。緩慢なリズムを表します。分子のブラウン運動に見られます。これらがゆらぎの世界の特性となっています。

  13. COBE で得られた宇宙マイクロ波背景放射 背景放射のゆらぎ WMAP で得られた宇宙マイクロ波背景放射 背景放射のゆらぎ  宇宙にはゆらぎが充ち満ちている。地上に降り注ぐ宇宙線も1/f ゆらぎを持っている。ゆらぎは地球上にても自然界を支配しているものと考えられる。

  14.  音楽のメロディーの動きが「1/f ゆらぎ」になっていることがIBM研究所のVoss氏によって指摘されてた。種々の音楽の周波数解析がすすむとこの1/f ゆらぎをもつものが多いことが分かってきた。その後、日本における研究によってバロック音楽はほとんどが1/f ゆらぎを持っているが判明し、古典音楽(越天楽)のような悠長な曲は1/f2に近く、逆にロック音楽、ジャズ音楽等の近代音楽は1/f0.5±0.2とホワイトノイズに近い事が分かった。  そのほか、印象派の名画や、水墨画や浮世絵、切り絵などの輪郭をはっきり持った絵。日本建築に用いられる木材の木目、日本の伝統的な工芸品である織物や染物、漆器、陶磁器などの手作りで、美しいとか、懐かしさとか、温かさを感ずるものはすべて“ゆらぎ”を持っています。  バロック音楽の巨匠と呼ばれるバッハ、モーツアルト、ベートーヴェン、ビヴァルディー等の名曲や教会音楽、心に残る日本の歌なども“ゆらぎ”が多く見られます。  このような自然界にあって人間に和みを与えてくれる“ゆらぎ”は“1/f ゆらぎ”と呼ばれています。“ゆらぎ”の中で“1/f ゆらぎ”が人間に心地よさや和みを与えてくれるのは、人間の生体リズムも“1/f ゆらぎ”になっているからです。

  15. 1/f ゆらぎはこの予測できないような“ズレ”が“ゆらぎ”であり、自然界をはじめ、様々な場で観測されています。 たとえば、自然界の現象を見るとその全てに変化があり、ゆらいでいます。 星の瞬きは決してコンピューターで測ったように等間隔ではありません。打ち寄せる海の波にも“ズレ”があります。小川のせせらぎ、そよぐ風、木漏れ日、鳥の鳴き声、白銀の世界でキラキラ光る陽光、かげろうなど、自然界の現象にはみな“ ゆらぎ”を見ることができます。心地よく快適で、人々に安らぎや幸せを感じさせてくれる自然界の現象の中には“1/f ゆらぎ”が満ちています。  人間の生体リズムもまた“1/f ゆらぎ”を伴っています。1分間に平均62回打つ心臓の鼓動(心拍リズムの間隔)や体温の変化、呼吸数にも、“ゆらぎ”があります。人が自然の状態でおこなう手拍子もゆらいでいる。脳が感知して指令を出すと、微弱な電気パルスが神経繊維(軸索)に次々と指令を伝えますが、その電気パルスにも、脳波(特にα波)にも“1/f ゆらぎ”があることが検証されています。  快適な状態に置かれた人の脳波のα波は1/f ゆらぎをもっているが、不快な状態にさらされていくと不規則側のホワイトノイズ側にシフトしていきます。快適な状態に戻すと再び1/f ゆらぎに戻ります。静岡市の禅寺・臨済寺にて禅僧の脳波を測定したところ一名は1/f ゆらぎを示しさらに深い瞑想状態に入った禅僧では1/f2 を示した。

  16.  つぎの表は古典派からバロック音楽を主体に集めたものです。パワースペクトルの変動を見るとゆらぎ係数は大体は-1を中心に±0.3のところに収まっています。こういう名曲といわれるもの、すなわち非常に人間の感性を豊かにし、安らぎを与えるものは1/f ゆらぎをもつ音楽であることが分かってきました。  最近いわれているロックとかディスコという音楽はゆらぎ係数としては-0.5±0.2に近いものです。こういうものはどちらかというと    に近いリズムを持っています。非常に緩慢な音楽、日本の宮中雅楽である越天楽は   1111に近いリズムを持っている。

  17. そよ風についていえば、自然のそよ風は一定の強さではなく、ゆらぎがあります。強くなったり弱くなったり、徴妙に変化しながら揺らいでいるわけです。(乱渦、風の息) その変化は、私達の期待、予測どおりに変化することもあれば、期待に反した強弱を繰り返すこともある。これは期待性(規則性)と意外性が桔抗した状態といえます。そよ風についていえば、自然のそよ風は一定の強さではなく、ゆらぎがあります。強くなったり弱くなったり、徴妙に変化しながら揺らいでいるわけです。(乱渦、風の息) その変化は、私達の期待、予測どおりに変化することもあれば、期待に反した強弱を繰り返すこともある。これは期待性(規則性)と意外性が桔抗した状態といえます。  こんな状態を数値化しスペクトルで表してみると、1/f ゆらぎになっています。こうした強弱の適度なゆらぎの状態が、私達に心地よさを感じさせる要素のひとつになっているといえるでしよう。  一定の風速を持つ扇風機は生理的でなくかえって不快感や疲労感を人体に与える場合があるが1/f ゆらぎをもつ自然の風は人体に心地よい刺激となるのです。某メーカーはこの理論より1/f ゆらぎを持つ扇風機を制作、販売している。実際には自然の風のほうがより快適のようであると著者は実感している。完全には自然の風を再生していないからである。

  18. 参考文献 ゆらぎの科学3  武者利光  森北出版株式会社 ゆらぎ、カオス、フラクタクル  武者利光・沢田康次/対談集

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