不思議現象なぜ信じるのかこころの科学入門菊池　聡　　　　谷口高士　編著宮元博章

不思議現象なぜ信じるのかこころの科学入門菊池　聡　　　　谷口高士　編著宮元博章心理学専攻3回生　広地諒多郎

3章影響されるこころ ・権威・同調

権威・私たちは権威のある人の言うことや指示を無条件に受け入れがちである → ex）　テレビのUFO番組など　私たちの権威への服従傾向は、どの程度のものなのか？

権威に関する実験 ・ミルグラム（1963）の実験　　「罰を与えよ」という権威者の指示に被験者がどれほど従うかの実験（被験者は「記憶に関する実験」に参加するとして集められた）　実験では、被験者＝教師役、サクラ＝生徒役、実験者＝権威者で、サクラが課題を間違えるごとに被験者はサクラに罰を与えるよう実験者に命令される

権威に関する実験 罰は電気ショックであり、強さは45～450ボルト、サクラが課題を間違える度に1段階（15ボルト）強さを上げる　　サクラは正答1回に対して誤答3回の割合で間違い、ボルトが上がっていくにつれ絶叫する、壁を叩くなど演技をし、330ボルト以後は無反応となる

権威に関する実験 ・結果　　生徒役の絶叫が部屋に響き330ボルト以降は無反応にも関わらず、62%もの被験者が権威者の指示に従い、電圧を最大である450ボルトまで上げた

なぜ権威に服従するか ・権威への服従は利益をもたらすことが多い例えば・・・　親や教師に従うのは、適切な行動に導いてくれるだけでなく、そのことで褒められるという心理的報酬を得ることができるから ⇒ 私たちは、このことを一度学んでしまうと都合のよいやり方に頼り、結果として無意識に権威に服従する

同調・私たちは、知らず知らずのうちに他人の態度や行動に影響を受ける。　⇒自分の態度や行動を他人と一致するよう変化させることを同調という

同調に関する実験アッシュ（1951）の実験被験者1人とサクラ7人を1グループとし、下の図の左のカードの線分と同じ長さの線分を右のカードから選ぶという実験サクラは18回の試行中12回全員一致で間違う同調に関する実験アッシュ（1951）の実験被験者1人とサクラ7人を1グループとし、下の図の左のカードの線分と同じ長さの線分を右のカードから選ぶという実験サクラは18回の試行中12回全員一致で間違う

同調に関する実験 ・結果　　サクラがわざと全員一致で間違った答えを言うと、1/3の被験者がサクラの回答に合わせてしまう

なぜ同調するのか　・同調には二つの理由がある　ドイッチ＆ジェラード（1955）情報的影響による同調 ⇒自分の判断に自信がないとき他者の判断　　　　　を一つの基準として利用規範的影響による同調 ⇒他者の期待にこたえようとして行う、集団の規範に沿った行動で批判などを避ける

なぜ同調するのか ・どちらの同調も「少数派になることへの不安」があると考えられる ⇒人間は社会的な存在なので孤立や仲間はずれになることに不安で、ときには過ちを犯すことよりも孤立することの恐怖の方が上回る

まとめ ・私たちの権威への服従は多くの場合、自動的に行われてしまっている・私たちは少数派になることへの不安を持っていて同調することでそれを避けようとすることがある

参考文献 菊池聡　谷口高士　宮元博章（1995）　不思議現象なぜ信じるのか　こころの科学入門　　　北大路書房

不思議現象なぜ信じるのか こころの科学入門 菊池 聡 谷口高士 編著 宮元博章