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日本原子力研究開発機構 東京工業大学原子炉工学研究所 篠田 佳彦 shinoda.y.ab@m.titech.ac.jp shinoda.yoshihiko@jaea.go.jp

原子科学と倫理  12 月 27 日 社会と科学技術 続き 1,2 限. 日本原子力研究開発機構 東京工業大学原子炉工学研究所 篠田 佳彦 shinoda.y.ab@m.titech.ac.jp shinoda.yoshihiko@jaea.go.jp. これまでの議論を踏まえて. How safe is safe enough?  How fair is safe enough? へ. キーワード:安全、安心、信頼、公正、・・、∈リスク. リスク論を見直してみると! 原子力利用の推進=リスクの有る行為の是非.

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日本原子力研究開発機構 東京工業大学原子炉工学研究所 篠田 佳彦 shinoda.y.ab@m.titech.ac.jp shinoda.yoshihiko@jaea.go.jp

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Presentation Transcript


  1. 原子科学と倫理 12月27日 社会と科学技術 続き 1,2限 日本原子力研究開発機構 東京工業大学原子炉工学研究所 篠田 佳彦 shinoda.y.ab@m.titech.ac.jp shinoda.yoshihiko@jaea.go.jp 茨大社会と科学技術003

  2. これまでの議論を踏まえて How safe is safe enough?  How fair is safe enough? へ キーワード:安全、安心、信頼、公正、・・、∈リスク リスク論を見直してみると! 原子力利用の推進=リスクの有る行為の是非 茨大社会と科学技術003

  3. リスクという用語が日常でも使われている サッカー解説でも リスク・チャレンジ リスクを犯しても、攻めにでなければ 投資リスク 虫歯リスク : Slovicの指摘:一般社会での活用では、 ・ 危険の意味 ・ 可能性の意味 ・ 損害を受けた結果のひどさの程度の意味 ・ 不運や恐怖の見込みの意味 Paul Slovic, Perception of Risk Posed by Extreme Events, Risk Management strategies in an Uncertain World, (2002) 一般市民の感覚として、「リスク」を 「何か変な事、考えも及ばなかった事、予期せぬ弊害が起こらないか」 としたような科学的な不確かさをも含んだ影響の可能性として、広くとらえている 茨大社会と科学技術003

  4. リスク= (損失量)×(発生確率): 危険度 : この定義には収まらない様々な側面で考える!と 定義を考え直す 望んでいる便益を期待して、(自発的な決定の下で)選択された行為によって、望ましくない結果(=損失)が起こる可能性 茨大社会と科学技術003

  5. “新たな”リスク論の構築、+配慮・調和・倫理“新たな”リスク論の構築、+配慮・調和・倫理 リスクを行為と結びつけて考えることを主眼とする リスク論で言及することは、安全か否かを識別することではなく、その行為をやるべき価値があるものか否かを判別すること リスクの有る行為⊇損失の可能性のある行為  望んでいる便益を目的とした行為に伴う、 望ましくないこと(損失)が生じる可能性もある行為4381 DBN +  どうするかを決めねばならない行為 茨大社会と科学技術003

  6. リスクの有る行為投資 便益:大金 :ハッピー 投資する か、 しない 成功/失敗の見込み 成功(失敗)した場合、どうなる 手持ちの資金と投資額 投資先への貢献 : 様々な要因 客観的リスク 損失:破産 :悲しい 茨大社会と科学技術003

  7. リスクの有る行為ケーキを食べる 便益:おいしい:ハッピー 損失:虫歯 :痛い ケーキ 食べようかな、やめようかな! 判断者(親か子か)、 該当者(虫歯が多い、少ないとか) の特性で判断に違いが!(人によっては、糖尿病)                   別観点の損失に相当 虫歯リスク 茨大社会と科学技術003

  8. 「破産したくない」、「虫歯になりたくない」「破産したくない」、「虫歯になりたくない」 それだけを願うのであれば、 「投資」も「ケーキを食べる」ことも行わなければよい 「投資する」、「ケーキを食べる」 とする行為は、 その行為が安全だから、だけでやるものではない (安全性が高ければ、その行為を選択しやすくなるが) 価値(儲ける、おいしい)を期待するから行う 茨大社会と科学技術003

  9. では、どうやって、その行為の選択::実施是非を決めるのか?では、どうやって、その行為の選択::実施是非を決めるのか?   そして、便益や損失は、どうやって計るのか? 損得勘定 価値判断 リスクと行為、行為の選択を結びつけて考える 行為によって得られる便益に対する価値やその行為を取り巻く様々な要因を合わせて判断することが求められる リスクの是非・判断 リスクの有る行為としての判断 行為全体の価値判断 茨大社会と科学技術003

  10. リスクの判断・是非 ≒リスクの有る行為をやるか、やらないか (前提)リスク論で言及することは、安全か否かを識別することではなく、その行為をやるべき価値があるものか否かを判別すること、 そして、その判別を行う際に! 損失を受ける人は、便益を受ける人は、判別する人は誰で、 どのような過程・手続きで決めていくか をきちんと見極めておくことが重要 自発的な決定の下で選択された行為 押し付けられた損失はリスクではない Luhmanns 茨大社会と科学技術003

  11. リスクの是非は、どうやって、判断(論争)すべきか!リスクの是非は、どうやって、判断(論争)すべきか! 論点::リスクの有る行為をめぐる価値判断(損得勘定) 論点を判断する: リスクの有る行為全体の価値判断  損失・・便益、・・・・・ 政治的、倫理的、社会経済的な様々な要因 価値判断の尺度は、人々の活動を通じたもので社会的に構成  リスクの有る行為の是非は、社会的に構成されるもの 価値::人が望み、守ろうとする度合い社会経済活動の基盤 「一定の事物のすぐれた程度、重要性などを同類の事物との関係において主観的に評価した値」(原岡) 茨大社会と科学技術003

  12. 価値判断であることがポイント個人差、状況差価値判断であることがポイント個人差、状況差 価値 主観的(≠客観的)な値(人の判断による) 自然科学では、「価値」を言及することはできない?≠客観性 社会科学では、社会の言及を通じて、価値を扱える? 問題解決志向としての自然科学科学技術 (問題を解決する意識が強すぎると問題を見失う) + 問題発掘・解明志向としての社会科学 (問題に係わる事象を深く見つめるが、解決策を示さない) 価値、価値をめぐる論争を取り扱うためには! 茨大社会と科学技術003

  13. 価値判断≒科学的考察+政治・経済的考察 (社会的) • 自然科学と 人文・社会科学 の融合 • 人文・社会科学の意義 ・・価値を議論の中で扱い、判断すること 茨大社会と科学技術003

  14. 自然科学的 社会科学的 安全学基礎 ーリスクコミュニケーションー 東大講義資料 古田より DBN 5966 客観主義では定量化できるものが重要な要因であるとする 構成主義では定量化できない部分にこそ重要な要因が存在するとする 立場の違いで説明することができる 茨大社会と科学技術003

  15. 2つのリスク論 リスクをめぐる争点について 客観主義の立場では、リスクを客観的な実存としてリスクの許容レベル 構成主義の立場からは、リスクの採択をした責任の所在であるとまとめ、 リスクが定量化可能なものか否かの見解によって争点が異なってくる リスクの社会的視野での再評価  リスク自体は、「客観主義」としての立場  リスクの是非は、「リスクの有る行為」としての判断であり、 「構築主義」としての立場 をとるもの 茨大社会と科学技術003

  16. (価値を扱えない)自然科学の立場(客観主義)(価値を扱えない)自然科学の立場(客観主義) では、リスクの是非=許容リスクをどう扱うか? 提起される問題 どこまでが安全なら十分安全といえるのか (How safe is safe enough?) 実質的同等性(遺伝子組換食品で導入された概念) ひらたく言えば 社会の既存のリスクに比べて 同じくらい、あるいは、小さいこと 交通事故と比べたりすること 朝日新聞より 茨大社会と科学技術003

  17. 安全目標と社会の関係 原発による平均死亡リスクは、年あたり百万分の1程度 ここまで下げたから、これでいかがでしょうか? わからない。 決めてよ。 それを決めるのは、私たち 他のリスクと比べて、こんなに低いのだから、問題はありません! 交通事故より、低いのです。 怖がらないでください。 茨大社会と科学技術003

  18. 十分に低いリスクを拒否 安心と安全の乖離 専門家=意思決定サイドでは、それを乖離と見てしまう そこに潜む!「専門家の正しい客観的リスク」 vs 「市民の誤った主観的リスク」の図式P. Slovic 論文の誤解 Slovicの主張:リスク認知の枠組みの違い。市民は様々な尺度で“リスク”を判断する 専門家:市民の反対は、科学的なリスクではなく、 「政治的、倫理的、社会経済的な」      (非科学的かつ私的な)「他の要因」とみる 市民 :「政治的、倫理的、社会経済的な」要因は、       社会的判断の中で取り組むべき重要な観点 そもそも“リスク概念”に含まれる要因としている 茨大社会と科学技術003

  19. ご安心ください。 科学的には十分安全ですよ。 科学的に説明します。 何かあったら、責任取ってくれるの! 社会的に説明して! 社会的側面の問題を重視する傾向 ・便益は誰にとってのものなのか、 ・専門家や企業、行政は、リスクを扱うのに十分な能力や仕組みを整えているのか、 ・万が一事故があった場合の対応策や責任の所在、補償はどうなっているのか    5935 DBN ギャップ 行政や専門家は、安全性や確実性を強調する 不確実なこと、未知のことが多く、この点に敏感になっている。 茨大社会と科学技術003

  20. 基準設定 =許容リスク 安全は技術の範疇 安心は感情の範疇 とする意識 「安全だとは思うが、安心できない」 リスク情報を活用した原子力安全規制への取組み 安全と危険の境界引きには、社会的な価値判断が入り込む リスク概念が持つ社会的側面の扱い 科学は、こうなる、こうできるまで これでよいかどうかは社会が決めること 決めねばならないこと わかりにくい概念 茨大社会と科学技術003

  21. このような、主張が 対象を客観化して捉える科学の方法論では人間という主体の意思や価値にかかわる問題は解明できそうにないと考える。 それゆえ、科学的思考ですべてを解決することは難しく、科学に基づく知識は情報の提供が限界の場合が多いと考える。 秋田一雄 東京大学名誉教授、安全問題評論家  安全工学 Vol.36 No.3 DBN 6001 “ポスト・ノーマル・サイエンス”と“科学を超える問題群” Post-Normal Science Trans-Scientific Questions 茨大社会と科学技術003

  22. “ポスト・ノーマル・サイエンス” Post-Normal Science Jerry Ravetz, The post-normal science of precaution, Futures, Vol 36 (2003) 高 ポスト・ノーマル サイエンス 事実は不確実を含み、 価値は論争的であり、 利害関係が大きく、 決定が切迫している 科学の事でも科学 で解決できない 決定に関する利害関係 専門的 コンサルト 科学で 応用 高 低 体系の不確実性 Normal Science: 科学の事は科学で解決できる場合 科学者が客観的な知識を政策決定者に提供する 茨大社会と科学技術003

  23. trans-scientific questions 科学に問えるが科学では答えられない問題 A. M. Weinberg “Science and Trans Science”, 1972年 科学の世界 政治の世界 科学の世界 政治の世界 政治に委ねる トランス・サイエンス 公共的熟議・合意を必要とする問題群 解決できない問題 (利害の取り扱いなど) 茨大社会と科学技術003

  24. trans-scientific questions 科学に問えるが科学では答えられない問題 Weinberg の問題提起 非常に低い確率で起こるような危険性のある事象に対して、対応すべきか、すべきでないかということを、科学に内在的な論理としては答えは出せない    実は、ここから、安全、安心についての問題提起もされる 科学に問えること=科学は、こうなる、こうできるまで              原発の死亡リスクは百万分の1 科学では答えられないこと=それをやるか否か これでよいかどうかは、科学では答えられない 社会が決めること、決めねばならないこと 茨大社会と科学技術003

  25. 提起される問題 どこまでが安全なら十分安全といえるのか (How safe is safe enough?) に、科学だけでは答えを出すことはそう単純ではない! (科学で答えを出せる場合は限られている) 安全が“客観的”なものではなく、“主観的”なもの 客観的とは、 強い定義 判断過程において人の意思に依らずに必然的な論理で展開されること、個人差は現れない状態。 弱い定義 大多数の人が同一な判断をすることが保障されることであり、個人差が顕著に現れることはない状態 茨大社会と科学技術003

  26. 安全は技術の範疇 (客観的なもの) 安心は感情の範疇 (主観的なもの) 安全(≒許容リスク)も主観的なもの 科学で安全を“主張”できない その状況が安全であると判断するのは個々人の意識 百万人に一人の被害科学的合理性ならOK(かもしれない) 一人の被害者の立場では、No 自分の意思で進んで選択した結果(自発性) 多少なりとも選択した行為を進展をコントロールできる(制御性)   自発性、制御性や様々な観点は、 茨大社会と科学技術003

  27. 損失をこうむれば、その他の要因が異なっても同じ!?損失をこうむれば、その他の要因が異なっても同じ!? 自発的(自分の意思でそのリスクを選択した)であろうと、 制御可能認識(自分の力でリスクを制御できる)を持とうが、 損失が顕在化すれば、 同じ損失を受けるのだから“客観的”リスク値は同一 しかし、 そのリスクに対する感じ方は、全く異なる可能性がある 特に、損失に対する感じ方が大きく異なる許容値が変わる リスクをどう感じるかそれを受け入れるか拒絶するかの判断 (リスク認知) (リスク判断) を区別して考えることが必要 茨大社会と科学技術003

  28. 妊婦が道路工事による騒音が胎児に影響を与えないかと心配している。一方で彼女はタバコを吸っている。喫煙は彼女に馴染みのある行為なので、それが胎児に与えるリスクについては余り気にしていないようだ。ところが、道路工事の音は他の人が作り出していて彼女にとっては馴染みがない。工事の音が胎児に与えるリスクと自身の喫煙が胎児に与えるリスクとは、彼女にとって感じ方が異なる。どちらが大きいリスクかは、人によって見解が異なるのである。妊婦が道路工事による騒音が胎児に影響を与えないかと心配している。一方で彼女はタバコを吸っている。喫煙は彼女に馴染みのある行為なので、それが胎児に与えるリスクについては余り気にしていないようだ。ところが、道路工事の音は他の人が作り出していて彼女にとっては馴染みがない。工事の音が胎児に与えるリスクと自身の喫煙が胎児に与えるリスクとは、彼女にとって感じ方が異なる。どちらが大きいリスクかは、人によって見解が異なるのである。 食品安全委員会 東大名誉教授 唐木英明先生 道路工事がうるさくて、お腹の子供への影響が心配だわ!DBN 5876 唐木先生: 馴染み、非合理=感情的、無知による誤認知 ここでは :+自発性・自由意思=選択・回避権限 日本学術会議公開討論会「BSE対策の科学」 「安全で安心な社会をどう構築するか-科学と社会をつなぐ」 などより 茨大社会と科学技術003

  29. 地層処分の“リスク”はこんなに低いのよ!だから大丈夫、反対は感情的な非合理よ地層処分の“リスク”はこんなに低いのよ!だから大丈夫、反対は感情的な非合理よ (客観的)リスクの比較 様々なリスクの比較 科学的(数値的)合理性から判断すれば、人々の判断はおかしな点が多々ある (“科学技術のリスク”より) リスクに固有の個性がある =行為を取り巻く様々な要因 小川順子氏:電気新聞セミナー資料より 茨大社会と科学技術003

  30. 自発性、制御性と対象 サーキットの観客 その音を聞きに行く 心地よい音 関係の無い人 眠りたい人 F-1マシンの爆音 騒音 茨大社会と科学技術003

  31. 自発性、制御性と対象 演奏会の観客 心地よい音 眠りたい人 子守歌 or 騒音 モーツアルトの交響曲 茨大社会と科学技術003

  32. ジェットコースターに喜んで乗るのはなぜか スキー、スノーボードだって、危険は隣り合わせ 交通事故で毎年9000人程度の死者が ジャンボジェットが墜落したら、300人は • 自分で好んで、自分の意思で、 •  楽しいから、気分爽快 •  便利、移動しなければ生活できない、旅行し、楽しみたい 「リスクの有る行為」を様々な要因(観点)から選択した結果 茨大社会と科学技術003

  33. (客観的)リスクだけを判断材料とすると、 リスク論は、「許容リスク」=安全と危険の切り分けを行うことになるが、 自然科学や工学の手法で扱えるかたちにフレーミングすることによって、問題として取り上げる範囲を限定し、社会的要因を無視してしまうこと。 (科学技術社会論研究者平川の指摘) 多くの科学技術専門家は、リスクの社会的要因を認めていない リスクの是非をリスクの有る行為で考えると、それぞれの行為には、それぞれ固有の異なる“社会的個性”があることが自明となる。 リスクの社会的視野での再評価 ・損失、恩恵とも十分に情報が集まれば、定量化できると考える ・リスクの判断は、リスクの有る行為全体の価値判断であり、そこには政治的、 倫理的、社会経済的な様々な要因を含めて考える必要があること ・価値判断の尺度は、社会経済活動を通じた尺度で、社会的に構成されるもの 安全と危険を切り分けるのは、個々人の意識によるところが大きいので 社会の視野から検討せねば、どうするかを判断することはできない 茨大社会と科学技術003

  34. リスクの有る行為 •  どうするかを誰かが決めねばならない行為 • 個人的行為(便益、損失とも個人の範疇)  個々人(自分自身)で決める • 社会的行為(便益、損失が社会の範疇)  社会で決める。ここで、社会とは、が重要 ★ 社会で決めねばならないことが、対立の可能性を含む リスク論で言及することは、安全か否かを識別することではなく、その行為をやるべき価値があるものか否かを判別すること 社会 国全体、 特定地域、 集団、(組織でも)・・・ 茨大社会と科学技術003

  35. リスクの有る行為 社会的行為(便益、損失が社会の範疇)  社会で決める ★ 社会で決めねばならないことが、対立の可能性を含む 社会的意思 : 社会という人々の集合体での決定・判断 全体的合意  国民的 ・地域住民的・・合意 コンセンサス Or 代表性のある政治的指導者の政治的決断 竹内啓 DBN 5410より 茨大社会と科学技術003

  36. 原子力利用の導入・推進 とする行為 • = リスクのある行為+社会的行為 • 利益や損失が社会や集団に係わる行為 • ++ 科学的行為 行為が科学技術に関連・直結するもの • 社会の意思で判断(≒政治的判断+科学的判断) ?社会  行政なのか、人々、・・・・・ 推進する・しようとする側と推進したくない側の対立 茨大社会と科学技術003

  37. リスク  選択 ≫ 社会的行為の場合 ★ 全体的合意は、形成されにくい 当該行為に対するとらえ方の違いが大きい、・・・・ ● 損失 / 便益に対する見解=価値判断 状況差、個人差などがある 特に、価値観が多様化した現代社会で顕著 価値の対立=人間性の基本的部分の対立 ● 当該行為による便益=社会全体、 損失=地域・時間など限定的 便益を受ける人と損失を受ける人が違う場合 全体的多数決なら、少数被害者は泣きを見る? 5820 DBN 受益、受苦 茨大社会と科学技術003

  38. リスク  選択 ≫ 社会的行為の場合 代表性のある政治的指導者による政治的判断 •  社会の意思を代弁し、その決定が社会の意思として扱われることを認められている者 • 政治的決断≒社会の意思として、決定事や結果の責任関係などが明確な決断 ≒ 行政官僚、科学技術専門家による科学的判断を 意思決定(政治的判断)の裏付けとしてきた!  政治的指導者からの依頼による詰問機関としての審議会などでの判断 = 科学技術政策は、政治的判断ではなく、科学的判断がベース        科学的判断は“客観的”で立場を超えた中立なものが前提 ≠ 立場など社会的要因を超えた中立的な科学的判断は難しい! 社会的行為において利害関係に全く関係ない人はいない 科学的判断 = 社会の意思 には必ずしもなり得ない、得なくなってきた 責任主体が不明確になりがちとなる! 茨大社会と科学技術003

  39. 社会の意思としての決定に関する問題 民主社会は、意見の違いは必然的に起こる・認められている 意見の違いが必ず紛争化し、損失を招く訳ではないはず! 意見の違いによって、対立・紛争化し、損失を招く場合とは! 意見が違っても、“納得”しあうことは不可能であろうか! 茨大社会と科学技術003

  40. 社会の意思としての決定に関する問題 意見の違いによって、対立・紛争化し、損失を招く場合とは! • * 利害、価値観・目標、信条・倫理、 ・・・の衝突 5756 DBN • * 力関係の存在(権力、経済力による意見の封じ込め、抑圧・強制) • * 社会活動の活性化 (不安増大、欲求不満、 • 競争社会化、自立社会化、社会と意識の変化 • 共通の前提や利益・価値観が見えにくく、   個人化が顕著になったこと5791 共通の目標の喪失(70年代は、皆が豊かさを求めていた) リスクのある行為の是非は、対立化しやすくなってきた 茨大社会と科学技術003

  41. リスクの有る行為についての社会的対応原則 (対立・紛争化を避けるために必要なこと) 納得 自身が受ける損失(の可能性)を知り、納得して受け入れる 自らの選択の結果でない損失(の可能性)を被ってはならない 納得して受け入れる  自らの選択が基本 自らの選択なら被ることも覚悟(自覚)の上    かつ、 正当な代価との交換によって!         ただし、金銭的恩恵だけではなく 茨大社会と科学技術003

  42. リスクのある行為についての社会的対応原則 (対立・紛争化を避けるために必要なこと) (特定な人たちに納得させずに)押しつけられていたり 知らない間に被っていたりすれば、  強く反発し、対立へ 向かう可能性をもつ! 押しつけられのが、自分でなくとも  いつかは我が身  押しつけられそうな人々への同情、正義感・倫理観(異議申し立て的抵抗)  押しつけようとする強硬な態度への反発・警戒  「個が社会のために犠牲になるのはやむを得ないもの」とは、相対する •  犠牲は強いられるものではなく、(誘導のない)自発的意志でなければならない 集団のために自己犠牲を楽しむ(能動的に) 茨大社会と科学技術003

  43. リスク社会 へ向けて! 「損失の分配」が誠実に行える社会 損失の分配を納得して行えるシステムを持つ社会 リスクの存在を認め、リスクの有る行為について、 その是非に関する決定方法・手続きを明確に定めたルールがあり、 それ故、リスクについて対応・対策を考えることができ、 そして、この過程で当該リスクを減らしていくことのできる社会 ≠ 危険社会 茨大社会と科学技術003

  44. リスク社会 へ向けて! 「損失の分配」が誠実に行える社会 「損失の分配」を誠実に行うには、 民主的な政治決定を通じた取組、システムが重要 そのためには、合意形成の概念(とらえ方)を変える、 意見が違っても、“納得”しあうことは可能となりえるかも! ●リスク社会=損失の分配を巡る討議Win/Win ▼ 産業社会=富の分配を巡る争い Win/Lose 茨大社会と科学技術003

  45. 損失の分配 対立の解決は合意に基づく必要 ① 意見の一致 、 多数決・裁定 Or ② 納得感(≠妥協)の向上 民主的な決定  合意に基づく決定  合意形成 意見が分かれることは、むしろ自然であり、 意見の一致をもって合意形成とする概念から離れ、 意見の分かれが深刻な対立・紛争とならないように 問題の解消を図り、問題の解消点について同意すること! 多数決で決めただけでは、対立の解消には全く不十分 ましてや、最終判断の是非を投票で決めても!、 茨大社会と科学技術003

  46. 重要なことは、紛争をゼロにすることでも、なかば強引な形で早期に終結させることでもなく、紛争が拡大・長期化し過度の社会的損失を招かないように、紛争を一定のルールのもとで管理していくこと重要なことは、紛争をゼロにすることでも、なかば強引な形で早期に終結させることでもなく、紛争が拡大・長期化し過度の社会的損失を招かないように、紛争を一定のルールのもとで管理していくこと 環境コミュニケーション ~環境紛争と合意形成~ より5714 DBN 茨大社会と科学技術003

  47. 合意形成の概念(とらえ方)を変える 121,20 DBN 合意形成は商取引と同じで、本質的には交渉して取り引きをすること 121P67  すべての利害関係者の利害を満足させるために、率直なやりとりを通じて、全員一致の同意を見出そうとするプロセス 「交渉」とは、基本的にこの物々交換のこと。 物≠物質だけではない 互いに満足しうる「物々交換」こそが肝要 市民から意見を聞いてそれを計画に盛り込むことだけでは合意形成と呼べない 同意を見出そうとするプロセス「見出そう」とする姿勢こそが重要 交渉学と合意形成 (NEGOTIATION and CONSENSUS BUILDING) 松浦より 茨大社会と科学技術003

  48. 合意形成は商取引と同じで、交渉して取り引きをすること合意形成は商取引と同じで、交渉して取り引きをすること ① 強硬な態度、策略などを用いて同意を勝ち取る  Win/Lose どちらか ② 協調的な交渉によってお互いの便益を高めようとする  Win/Win 121,20 DBN 相手が自分よりも重要視するものと、自分が相手よりも重要視するものを交換することによって両者の便益を高める 自分が持ってるものと、相手が持ってるものを取り引きすることで、 自分も相手もよりよい状態になろうとすることが、交渉学の極意。 そういう意味では、自分から(有形、無形問わず)何も差し出さないで 相手から何かを取り上げようというのは交渉ではない。 社会的合意形成と土木教育より抜粋 茨大社会と科学技術003

  49. リスク社会で必要となること リスクの社会性 リスクがもつ社会的側面 を重視して、リスクの是非を皆で判断すること 是非判断におけるポイント・心構え 様々な要因に関与する方々 ≒ 判断に参加すべき方々 様々な立場の方々の参加し、話し合う(解を見つける)こと、  参加すべき方々が自分の問題として関わる(関われる) ・ 損失(とその可能性)について、被る側が納得する そのなかで対立を解消すると新しい未来が見えてくる (対立は、新しい価値を生む原動力にもなる) 茨大社会と科学技術003

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