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原子力政策の破綻. 大 石 高 久. 目次. 末期状態の原子力時代 原子力産業の国際展開 【 補論 】Climategate 原発を止めても電気は足りる 増え続ける「負の遺産」 「国策民営」の抜本的再検討. 目次. 末期状態の原子力時代 原子力産業の国際展 【 補論 】Climategate 原発を止めても電気は足りる 増え続ける「負の遺産」 「国策民営」の抜本的再検討. 末期状態の原子力 時代. 次頁左欄で簡潔に要約されている様に、 1976 年の TMI と 1986 年の Chernobyl 以降、世界的に反原発の流れとなった。
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原子力政策の破綻 大 石 高 久
目次 • 末期状態の原子力時代 • 原子力産業の国際展開 • 【補論】Climategate • 原発を止めても電気は足りる • 増え続ける「負の遺産」 • 「国策民営」の抜本的再検討
目次 • 末期状態の原子力時代 • 原子力産業の国際展 • 【補論】Climategate • 原発を止めても電気は足りる • 増え続ける「負の遺産」 • 「国策民営」の抜本的再検討
末期状態の原子力時代 • 次頁左欄で簡潔に要約されている様に、1976年のTMIと1986年のChernobyl以降、世界的に反原発の流れとなった。 • しかし、アメリカの原発産業は同時に巨大な軍需産業でもあり、座視はしない。反撃に出る。 • 「地球温暖化」論、「温室効果ガス」論がそれ。 • 陰謀としての「地球温暖化」論は後述する。 • 原発産業は、先進国には「温暖化」論を途上国には「安定的電力」で原発を売ろうとする。
出典:「原子力を巡る状況」(資源エネルギー庁H19)出典:「原子力を巡る状況」(資源エネルギー庁H19)
目次 • 末期状態の原子力時代 • 原子力産業の国際展開 • 【補論】Climategate • 原発を止めても電気は足りる • 増え続ける「負の遺産」 • 「国策民営」の抜本的再検討
原子力産業の国際展開 • 前頁の「原子力を巡る状況」(資源エネルギー庁H19)が「7 我が国の原子力産業の国際展開支援」と謳(うた)っている様に、同庁は: • 日本の原子力産業は基幹産業になっている • 「温暖化」論と「安定的電力」論で、国内での原発建設と途上国への原発輸出を目論む • 2011.03.12のFukushimaによって、この目論見は脆くも覆るであろう。
「原子力を巡る状況」 (資源エネルギー庁平成19年3月)「原子力を巡る状況」 (資源エネルギー庁平成19年3月)
出典:「原子力を巡る状況」(資源エネルギー庁H19)出典:「原子力を巡る状況」(資源エネルギー庁H19)
東芝、米WH買収(2006年2月7日 読売新聞) 【ロンドン=中村宏之】東芝は6日、米原子力大手「ウェスチングハウス(WH)」を買収することで、WHの親会社の英核燃料会社(BNFL)と最終合意したと発表した。買収額は54億ドル(約6210億円)。 米政府の承認などを経て近く買収手続きを完了する見通しだ。東芝はWH株式の51%以上を保有して子会社化し、残りは複数の企業が共同出資する。出資企業には丸紅などが浮上している。 東芝は、東京電力の原発で採用されている「沸騰水型軽水炉」の技術を持つ。WHが持つ「加圧水型軽水炉」の技術を取り込むことで、中国など加圧水型が優勢な海外市場で巻き返しを図る。ロンドンで会見した東芝の西田厚聡社長は「今回の買収で東芝は世界的な原子力メーカーになれる」と述べた。 WH買収を巡っては、三菱重工業や米ゼネラル・エレクトリック(GE)なども名乗りを上げたが、破格の買収額を提示した東芝が競り勝った。
東芝が米原発受注、総事業費6000億円 (『日本経済新聞』2007年6月27日 ) 東芝が米電力大手NRGエナジーから原子力発電所を受注することが内定した。同原発は日立製作所・米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合が優勢だったが、日本での安定した実績などを訴えた東芝が逆転した。総事業費は約6000億円。東芝本体が海外で原発建設の主契約企業となるのは初めて。原子力政策を転換した米国では今後30基の原発新設が見込まれる。三菱重工業も米国で大型受注を獲得しており、日本の原発大手の攻勢が相次いでいる。 受注が内定したのは、NRGがテキサス州ヒューストン市近郊に新設する改良型の沸騰水型軽水炉(BWR、出力135万キロワット)2基。2014年にも稼働する。」 ※制御システムはGEに発注し、GEは東芝の受注を承認
海外受注減速の危機 (『週刊実話』2011年4月21日 特大号) 「東芝は2006年2月、米原発プラントメーカーWHを6200億円で買収し、これを機に原発ビジネスを半導体と並ぶ将来戦略の中核に据えた。翌年には将来戦略を見据えたかのように、カザフスタンでウラン権益を確保するなど『選択と集中』を加速。以後、原発事業は毎年100~150億円の利益を生み出し、これに自信を深めた同社は、中期経営計画の最終年度となる2015年度には原子力事業だけで『売上高1兆円』の壮大なビジョンを掲げた。」
海外受注減速の危機(続) 「 …誤算は更に続く。…(トルコのケース)…東芝が“原発需要の宝庫”と期待する中国も、ここへ来て新規建設の中止を決めた。インド、ブラジルなどの新興国がこれに追随する可能性は十分ある。だからこそ東芝首脳がうろたえ、虫のいい成長戦略を棚に上げながら怒りの矛先を東電に向けている図式なのだ。市場関係者が喝破する。… 原発のプロを自負する佐々木社長にとって、進むも退くも、まさに地獄でしかない。」
東芝受注の米原発、主導の電力大手撤退 福島事故で :日本経済新聞www.nikkei.com東芝受注の米原発、主導の電力大手撤退 福島事故で :日本経済新聞www.nikkei.com 【ニューヨーク=小川義也】東芝と組んで米テキサス州で原子力発電所の増設を計画していた米電力大手NRGエナジーは19日、福島第1原発の事故で事業の先行きに不透明感が強まったとして、投資を打ち切ると発表した。この事業には東京電力も出資する計画だったが、見送る方向で検討。事業主体であるNRGエナジーの事実上の撤退で、東芝が受注した原発2基の建設は実現が一段と難しくなった。 NRGエナジーはサウス・テキサス・プロジェクト(STP)原発の3、4号機建設への投資に関連し、1~3月期に約4億8100万ドル(約400億円…」 最終更新時間: 2011年04月20日
目次 • 末期状態の原子力時代 • 原子力産業の国際展開 • 【補論】Climategate • 原発を止めても電気は足りる • 増え続ける「負の遺産」 • 「国策民営」の抜本的再検討
【補論】Climategate (1) • 2009.11.20 University of East Anglia (UEA:1963創立)のClimatic Research Unit (CRU) のサーバーが破られ、次の2点を示すメール1,000通・文書2,000本以上が外部に: • 気象データを「温暖化」に有利に改竄している、 • 「温暖化」反対論者を抑圧している • Fox Newsの報道を機に、欧米では広くマスコミに取り上げられ、「温暖化論は科学的な陰謀」であるという意見が表に出始める
【補論】Climategate (2) • この事件と内容が日本で完全に無視されていることは、日本のマスコミが「原発推進」派であることと無関係ではない。 • 1986年以前には、次の意見の方が主流 • 地球は「小氷河期」に向かっている • その原因は人間の行為に依るものではない • Chernobyl以後、原発産業が生き残るための会議を開いて以後、突然、一方的に: • 地球は温暖化している • その原因はCo2である
【補論】Climategate(3) • 本書で明らかにされている様に(113-16頁参照)、原発はもともとクリーンではない。 • ましてやFukushima以後、「原発はクリーン」、「温暖化防止のために原発を!」は通じない。 • しかも、事故が無くても、日常的に、自分で処理できもしない「高レベル廃棄物」を出し続けている。 • この問題が表面かしないのは、先送りしているからに他ならない。つまり、100,000万年後までの世代にツケを廻しているからである。
目次 • 末期状態の原子力時代 • 原子力産業の国際展開 • 【補論】Climategate • 原発を止めても電気は足りる • 増え続ける「負の遺産」 • 必要なのは省エネルギー
原発を止めても電気は足りる(1) • 消費電力の9割は企業、家庭は1割 • 電力消費のピークは、真夏の数日 • より正確には、数日の数時間(13:00〜14:00) • つまり、深夜まで節電しても無意味:逆に、東電が困る: • 全原発を停止しても大丈夫な証拠 • 2003年に東電の全原発は停止したが、停電も節電も無かった • 1980年代後半から、「出力調整試験」
原発を止めても電気は足りる(2) • 37年前の「電気使用制限令」は、中曽根が、今回は「経産省」が発令。つまり、官僚が主役。 • 「制限令」の対象地域は、東電&東北電力:東北電力は日本海側の洪水で水力発電所が停止する事態も加わったが、東電から融通を受けるので「自主節電」を訴えているだけ。 • むしろ、「制限令」の対象地域ではない「関西電力」が、「大阪府」に「節電を迫り」、橋下知事に「拒否」される:「世代間闘争」(橋下)
原発を止めても電気は足りる(3) • 再生可能エネルギーの利用:現在の1%という数字は、東電と自民党の族議員により「発送電分離」が骨抜きにされ、「買い取り拒否」 • 冷房や暖房と聞いて、「電気」を考えるな:地中10〜15mの空気は15度程度で一定。それ自体が温風や冷風になる。 • 「安定的電力」の切り札は、GCC発電。 • GCC+太陽光・太陽熱+風力+水力等 (原発を外した上での、「ベスト・バランス」!
原発は全廃できる!切り札は新火力発電『FLASH』(2011年5月2日)原発は全廃できる!切り札は新火力発電『FLASH』(2011年5月2日) 広瀬隆氏は言う。 「でも、原発を止める方法があるんです。従来の火力発電をガスコンバインドサイクル方式の火力発電に切り替えればいい。天然ガスは最もクリーンだし、最も熱効率の高い発電なんです ガスコンバインドサイクル発電は、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたもので、いま世界中で脚光を浴びている新火力発電だ。まずガスを燃やして発電し、そこから出る高温の排ガスで蒸気を発生させ、その蒸気で再度タービンを回す“1粒で2度おいしい”方式。広瀬氏の試算によれば、日本の火力発電所の3割を変更するだけで原発を廃止できるのだという。 日本は火力発電を推進すべきなのだろう。」 しかも、数ヶ月で建設できる!注文するしか無い!!
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増え続ける「負の遺産」(1) • 日本の原子力政策は「トイレ無きマンション」:原発から出てくる放射性物質の処分場が無く、先送りしているだけ。 • 「六ヶ所再処理工場」は、「低レベル廃棄物」のみしか受け入れてくれない。ほぼ満杯! • MOX燃料の「使用済み燃料」も、「六ヶ所再処理工場」では受け入れてくれない。現在は、各原発の敷地内に「一時(長期)保管」!? • 「高レベル廃棄物」については、「再処理」を想定しているが、「永久処分地」ではない。
行き場ない使用済MOX (『福井新聞』2010年10月8日)行き場ない使用済MOX (『福井新聞』2010年10月8日) 「原発から出る一般の使用済み核燃料は青森県六ケ所村の再処理工場に搬出、処理されるが、軽水炉のプルサーマルや高速増殖炉「もんじゅ」(敦賀市)で発生す る使用済みのプルトニウム・ウラン混合酸化物燃料(MOX燃料)は対象外。現状では行き場はなく、国は「第2再処理工場」でリサイクルする方針だ。 しかし、その立地場所も建設時期も全くの白紙で、「2010年ごろから検討を開始する」としているだけだ。 「検討を始めても(すぐに)答えが出るわけではない」。国の原子力委員会の近藤駿介委員長は、第2再処理工場の実現には今後、トータルで40年程度の期間が必要だと語る。プルサーマル発電が本格化しても、使用済みのMOX燃料の搬出先が決まらず、原発構内でたまり続けるのでは、との懸念は消えない。」
高浜原発の貯蔵プールに搬入されるMOX燃料高浜原発の貯蔵プールに搬入されるMOX燃料
MOXの再処理は民間では困難(出典:同前) 「使用済みMOX燃料を再処理する技術自体も未確立だ。 国内では、新型転換炉ふげ ん(現・原子炉廃止措置研究開発センター)のMOX燃料を日本原子力研究開発機構が再処理した実績があるが、プルサーマルに比べ、大半は燃焼時間が短いものだった。MOX燃料から取り出したプルトニウムは燃えにくく、軽水炉で使うには難しさがあるという。 国、電力事業者、プラントメーカーなどが参加した高速増殖炉サイクル実証プロセス研究会が昨年まとめた「技術的論点整理」では、第2再処理工場に関して、技術開発に多くの費用と期間が必要な半面、民間ベースでの経費回収は困難と結論づけた。」
核燃サイクル 再処理コストは埋設の2倍 「国の原子力委員会が設置した原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会(鈴木達治郎座長)は25日、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出し利用する核燃料サイクルのコストを試算した。再処理に掛かる費用は、直接処分(埋設)する場合に比べて約2倍に上ることとが判明。(中略) 試算は、使用済み核燃料を▽約10年間のサイクルで再処理し、繰り返し使用した場合▽再処理せずに約60年間、中間貯蔵した後、地中に埋めるなど直接処分した場合▽再処理と直接処分を半々にした場合―の3パターンに分けて実施。 (中略)再処理コストは1キロワット時当たり1・98円となり、直接処分の1円の約2倍となった。 再処理と直接処分を半々にした場合は、ほぼ中間の1・39円となり、直接処分の比率が高いほど、コストが低くなることも分かった。」(『福井新聞』2011/10/26)
増え続ける「負の遺産」(3) • 実際のところ、「再処理」は海外企業に委託してきたが、その英セラフィールド再処理工場も「廃止」が決まった。 • 「プルサーマル」も「もんじゅ」も、廃棄場が無いことで、行き詰まることは明白 • 今後は経年劣化で廃炉ラッシュになるが、廃炉なら尚更、大量の「負の遺産」が出る • 誰にも管理できない「核のゴミ」の「最終処分地」を公募集中:高知県東洋町の例 • 待った無し:いつまでも先送りはできない:フィンランドの「オンカロ」計画:『100,000年後の安全』
目次 • 末期状態の原子力時代 • 原子力産業の国際展開 • 【補論】Climategate • 原発を止めても電気は足りる • 増え続ける「負の遺産」 • 「国策民営」の抜本的再検討
「国策民営」の抜本的再検討 • 「国策」の内実である「経産省」内の「原発推進官僚」を「辞職」させよ! • 「発送電分離」:(しかも、過去の失敗の経験を生かせ=)東電と自民党族議員を排除! • 「電源三法」とそれに伴う交付金の廃止:再生可能エネルギーの研究・育成を補助せよ! • 「総括原価方式」から第3者機関による「原価(コスト)チェック」方式へ:無用なコストを消費者に負担させていないか!
東京大学大学院教授班目氏 VS.京都大学原子炉研究所助教小出氏