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対流圏の中で輸送論的には 対流を伴う Hadley 循環や傾圧波動等が働いており、 それに化学過程などが絡む問題 -> モノがどのように存在 観測が行われている <ー> モデルによる説明研究 物質はいっぱいあって、、、 ここでは比較的多い物質の輸送を主に議論する. 2−7:化学物質の分布. 1:メタンについて. CH 4 は 0.5 W/m2 の放射強制力 CO 2 は 1.5 Hydrocarbon=0.5 対流圏オゾンも 0.5W/m2 ー>ここでは物質分布について. 対流圏微量成分.
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対流圏の中で輸送論的には 対流を伴うHadley循環や傾圧波動等が働いており、 それに化学過程などが絡む問題 -> モノがどのように存在 観測が行われている <ー> モデルによる説明研究 物質はいっぱいあって、、、 ここでは比較的多い物質の輸送を主に議論する 2−7:化学物質の分布 1:メタンについて CH4は0.5 W/m2の放射強制力 CO2は1.5 Hydrocarbon=0.5 対流圏オゾンも0.5W/m2 ー>ここでは物質分布について 対流圏微量成分 メタンの反応例(NOxが多い):Crutzen and Zimmermann, Tellus, 1991 CH4 + OH -> CH3 + H2O CH3 + O2 + M -> CH3O2 + MCH3O2メチルぺルオキシド CH3O2 + NO -> CH3O + NO2CH3O メトキシ CH3O + O2 -> HCHO + HO2CH2O ホルムアルデヒド NO + HO2 -> NO2 + OH NO2 + hv -> O + NO x2 O + O2 + M -> O3 + M x2 ---------- CH4 + 4O2 + hv -> 2O3 + HCHO + H2O CH4寿命は10年程度
Frankenberg et al., JGR, 2006 衛星観測との比較: 衛星観測で得られた、カラム平均の2003-2004年のCH4分布 モデルで評価されたCH4分布 だいたいあっているが、差は、輸送、emission、解離と関わるOH場の差と思われるが、まだclearにはなっていないようである。
2: OHについて OHは少ない量ではあるが、化学反応で非常に重要な物質であるので、見ておこう。 (ただし、観測はほとんどなく、モデル結果である) 東西平均したモデルOH分布、7月 O3 + hν(310nm以下)-> O(1D) + O2 H2O + O(1D) -> 2OH H2Oがメインのソースであり、日のあたり具合でおおよそ決まっているよう。 モデル結果:地表のOH、7月3日、6GMT
COの破壊反応について:Crutzen and Zimmermann, Tellus, 1991 CO + OH -> CO2 + H H + O2 + M -> HO2 + M HO2ヒドロぺルオキシド NO + HO2 -> NO2 + OH NO2 + hv -> O + NO O + O2 + M -> O3 + M ----------------------------------- CO + hv + 2O2 -> O3 + CO2 3:COについて COの化学的寿命は CO+OH から (k=10-13 ) x106 =10-7100日程度 CO emission分布、7月: Brasseur et al., 1998 MAZARTの見積もりでは emission: 1219 Tg-CO/yr 光化学生成:881 -> total source :2100 光化学破壊:1730, dry=190 net sink=1920 chemical 生成: (例:メタン酸化ー>ホルムアルデヒドー>CO) CH2O + hν ----> H + CHO (≦350nm) H + O2+M ----> HO2 + M CHO + O2 -----> CO + HO2 ---------- CH2O + 2O2 ----> CO + 2HO2 Sudo et al., 2002, JGRでは emission: 1227 Tg-CO/yr 光化学生成:1574 -> total source :2801 破壊:2610, dry=133, net sink=2743 STE= -191
地表COの分布と季節変化 時間変化:冬は破壊されないので多い、春に最大 ●は観測、 □がモデル 1月の表面のCO分布 南半球は9、10月ころ最大 7月のCO
Park et al., 2009, JGR 下層から上層への輸送例: 2005年6月の215hPaでのCO 衛星観測 モデルは大体再現している モデルの、COの緯度高度分布図、6月平均で、67.5E(左)と112.5Eの経度
上層の高気圧性循環の Park et al. 対流輸送が重要な役割を果たしている: OLR;対流の様子 平均的鉛直分布 模式図 モデルでのemission分布、1000hPaでの流れ
Hauglustaine et al., 1998, JGR 2−8:オゾンについて 成層圏からの流入 7月の地表オゾンの結果例:主に化学反応により決まる 対流圏オゾン化学の略図 オゾン生成の1例(前出): CH4 + OH -> CH3 + H2O CH3 + O2 + M -> CH3O2 + M CH3O2 + NO -> CH3O + NO2 CH3O + O2 -> HCHO + HO2 NO + HO2 -> NO2 + OH NO2 + hv -> O + NO x2 O + O2 + M -> O3 + M x2 ---------- CH4 + 4O2 + hv -> 2O3 + HCHO + H2O 1月の地表オゾン
中緯度でのオゾン移流の例 衛星画像、線は対流圏オゾン 中緯度高低気圧の様子 結果(MOZART model)として、成層圏から流入しているようにみえる(7月で東西平均したもの) 成層圏から対流圏への流入量の見積もり: MOZART:成層圏から391Tg/y、化学=507Tg/y CHASER:成層圏から593Tg/y、化学=397Tg/y 対流圏オゾン量(DU単位)の分布図, 線は850hPaの流線、Fishman and Balok, 1999, JGR
ENSOにともなうオゾン偏差の分布: Sudo and Takahashi, 2001, GRL 対流圏オゾンの気候値 オゾン偏差の経度高度図と、下図の色がmass fluxのanomaly(差)、一方、矢羽根は大規模場の流れ偏差、 NOX, COなどもインドネシア域で増加 インドネシア域のオゾン増加の半分くらいは説明できるよう。残りはバイオマスバーニングの変化であろう 1997年、ENSO時におけるオゾンの偏差(1996からの差)、上は衛星データから、下は化学モデルの結果、ただし、モデルでの微量成分の放出は96,97は同じものを使っている。 個々の問題はいっぱいあるが、、、、
3章:成層圏における物質輸送 北半球夏 成層圏における物質輸送では、オゾンにからむ輸送がおおきな問題であろうから、話初めとして、オゾンの分布図から 北半球冬 オゾンの鉛直分布(成層圏で大きな値)、WMO-O3 report, 2007から 全オゾンの全球分布:全オゾンでみると、中高緯度の方が多い、また冬に多いこと
極での全オゾンは春が最大になる。運動が大事(主に、惑星波動によって輸送される)極での全オゾンは春が最大になる。運動が大事(主に、惑星波動によって輸送される) 東西平均した緯度高度図: オゾンホール(南半球) Ozone mixing ratioの南北−高度分布(1月、4月、7月、10月:ここで10月は最近の南極域オゾンホールで異なる)、ppmv ある高度でオゾンが無くなっている <ーその場の化学過程であろう
3−1:成層圏における運動の概観 対流圏との運動の違いは、成層圏では大気が基本的に安定大気であることであろう (N2= g d (lnθ )/dz が大きい )-> 波動が卓越する 粒子として元に戻る運動-> 後で例を 東西平均した温位構造、Holton et al. (1995, Rev. Geophys.)から、太線が圏界面 西風 東風 西風 より冷たい 全球平均の鉛直温度構造 1月(左)と7月の東西平均した東西風、冬と夏で構造が異なる
50km〜90kmは中間圏と呼ばれ、温度は高さとともに減少しているが、水はほとんどなく,温度勾配も緩やかなので,基本的には対流は起こっていない50km〜90kmは中間圏と呼ばれ、温度は高さとともに減少しているが、水はほとんどなく,温度勾配も緩やかなので,基本的には対流は起こっていない しかし、対流圏から重力波が伝わってきて,しかもここで振幅が大きくなり,局所的に不安定が起こっている ー> 重力波が壊れている中間圏の内部重力波に伴う温度構造: 中間圏の重力波(G)が南北循環を生み出している(Plumb, 2002, J. M.S. Japan) 外部重力波のbreakingです(北斎から) こんなimageか? ー>鉛直拡散係数の値と関係 局所的に温度勾配が乾燥断熱減率を超えて、乾燥対流の起きる条件をみたすことがあるー>物質の拡散に重要
成層圏では、冬季惑星波動による輸送が重要であるよう成層圏では、冬季惑星波動による輸送が重要であるよう 成層圏中の東西に非一様な大規模大気波動: 冬季の惑星規模の波動 東西平均温度の1979年時間変化、突然昇温と呼ばれるー>後で輸送の例を 東風になっている 図:1979年1月26日の10mbのHeight図。北極からみた図である。冬季であることに注意、夏は惑星波動は存在しなくなる 1979年2月26日の東西平均風 このような成層圏の中の大気運動に絡めて、物質輸送の問題を考えていくことになる。
惑星波動を記述する方程式: 運動方程式に現れるコリオリ項を のように βー平面近似した準地衡風方程式でのPotential Vorticity(渦位)方程式 ここでug, vgは地衡風を表し、 より一般的な等温位面でのポテンシャル渦度 qは準地衡風近似でのPVをあらわす。 ψは流線関数であり、 散逸がなく、断熱のときの場合は、流体の運動とともにPVが保存される 散逸や非断熱がない時、時間的に一つの(Rossby)モードの、保存的な時間発展の式になる。 ー>次ページに簡単な例を この方程式は中・高緯度の対流圏で重要な役割をもっている傾圧不安定、いろいろな惑星波動の問題に適用される。1000kmくらいより大きいスケ−ルの運動にたいしての式であろう. PV図の具体例は後で
波にともなう粒子の変位 南側 北側 簡単なモデルで、惑星波動にともなう粒子の動きを表現しておこう、Matsuno, 1980, Pageoph 冬の成層圏での定常な惑星波動による移流の効果 高さ、緯度に依存しない平均東西風があるとき、その中に存在する定常な惑星波動の式は、波の振幅の1次のオーダーの線形PVの方程式では、 y=0 y=π/l Stokes Driftと呼ばれ、北側で下降している ここで、Uは一定の西風、fは一定のコリオリパラメータ、 Nは浮力振動数、Hはスケールハイト、βはコリオリパラメータの緯度変化を示す。また、x, y, z は東西、南北、鉛直座標で、Φ’はGeopotential height、vは南北風を示し、Φ’とは地衡風の関係にある。また東西風は 南北鉛直断面図での流体粒子のトラジェクトリー、上図は振幅の1次のオーダー、下図は2次のオーダーまでの計算、ただし、上図では2次のオーダーの熱力学の式、 南北に剛体の壁がある場合の、1つの解として、 のような波を考える。k, m は東西方向、および鉛直方向の波数。また π/l は南北のスケール。 の熱輸送の項からでてくる、東西平均鉛直流は入っていない。 流体粒子の平均子午面内の動きは、ラグランジュ的流れ=オイラー的東西平均 +Stokes Drift となる、 上の理想的な状況では、はゼロとなる
前ページのような考えをふまえて、成層圏大気では擾乱(波動)による輸送の一般化が行われて、それを用いてよく議論される前ページのような考えをふまえて、成層圏大気では擾乱(波動)による輸送の一般化が行われて、それを用いてよく議論される 3−2:物質輸送の1つの表し方 中緯度の惑星波動による(角)運動量の輸送について( over barは東西平均量、’はそれからのずれの波動) 数日よりゆっくりした運動の場合は右の式になる ー> 変換された(transformed)オイラー平均で惑星波動の振る舞いをみる ( Andrews and McIntyre, 1976, JAS ) 、 ラグランジュ流に近似的な子午面循環(残差循環と呼ばれる)を 近似的に に対応 のように定義すると、 熱力学の式で、擾乱の効果がないこと(非断熱が鉛直循環に直接からむ形)、運動の方程式において、東西平均風の加速の項が、EP flux (Eliassen-Palm flux)の発散によって表現されることが特徴である。ここで、 この量は惑星波動の東風運動量を南北と鉛直に運ぶ指標で、psudo-運動量フラックスとも呼ばれる。 この*印のついた子午面循環は、流体の重心の子午面内での平均運動に近似的に等しいことが示されており、物質の移流による輸送に使われている
右辺のforcing termsが評価できれば、南北鉛直の流れが評価できる。 そのような循環を評価した例、 オイラー平均の子午面循環 夏半球 eq. 90N 冬半球 eq. 北半球冬 成層圏下層に熱帯から上昇している循環がみえる(Brewer-Dobson循環とよばれる)、上の方はHeatingのある夏半球が上昇流で冬半球が下降流となっている。
流れ場があって、流体粒子をLagrange的に動かしてー>南北、鉛直の2次元に投影してみる, Kida, 1983, JMSJ 拡散について: (A) 移流の他に、拡散(例えば波の振幅の変動で起こりうる)が起こっている。 核実験後の成層圏の物質分布が上のKidaの数値実験の結果と良く似ている、成層圏の等温位面を流れているかんじ (A) のXXXは初期の場所、(A)は6ヶ月後の分布図、あと1年後づつ
Brasseur et al. (1990)では、以下のような式が輸送の式として用いられている。(緯度—鉛直の方向のみの輸送として) 重力波による鉛直拡散とRossby波による水平拡散、上図は東西平均風に働く波動による力の分布 Rossby波によるEP flux 発散 前に議論した残差循環 により物質が移流され、さらに拡散が考慮される形 中間圏の鉛直拡散は重力波のbreakingによる運動量の拡散係数が使われている。中間圏で大きな拡散になっている 対応した水平拡散係数 南北拡散は準地衡風近似のとき(Andrews et al., 1987)、ポテンシャル渦度の南北輸送がEP-flux 発散に等しいことで、 のように書かれ、 のような拡散の形を仮定して のようにここでは定義されている。
運動の方程式と組み合わせて、物質の輸送の問題が鉛直緯度2次元の範囲で解けることになる運動の方程式と組み合わせて、物質の輸送の問題が鉛直緯度2次元の範囲で解けることになる 結果としての計算されたオゾン分布
3−3:化学気候モデル モデル結果 近年は、前章で説明したような、対流圏を含めた全球3次元的運動と化学過程を直接解く3次元大気大循環モデルによる研究に移行 観測結果 Rasch et al., 1995, JGR 大雑把には再現、しかし細かいプロセスまでは表現できていないよう 化学反応の例
3DモデルによるCH4分布 これは3次元モデルであるNCAR GCMで再現されたCH4分布図: 観測結果 0.4 0.4 3次元モデルで、赤道域では鉛直上昇流、中高緯度では下降流(前に述べた循環に対応)および惑星波動による水平混合など、平均的な形はおおよそ再現されている。 30度あたりの、低緯度と中・高緯度の境界あたりの構造などがゆるいよう。
N2OとCH4の寿命の長い物質の水平分布図:中/高緯度では成層圏の惑星波動にしたがって運動しているよう。N2OとCH4の寿命の長い物質の水平分布図:中/高緯度では成層圏の惑星波動にしたがって運動しているよう。 これまでの話しをまとめると、成層圏の惑星波動に伴う輸送は、大雑把には下図のようなimageでしょうか Roche et al., 1996, J. Geophy. Res. から、21mb(27km)の高度、CLAES ( cryogenic(低温) limb array etalon spectrometer)衛星観測 Solomon, 1999, Rev. Geophys.
1:2002年南半球突然昇温によるオゾン輸送 3−4:成層圏物質輸送のプロセスをみる 南半球(オゾンホール)の様子(1998-2003年、9月25日のみ)、全オゾン 1998 1999 2000 2001 2002 2003 基本の構造は南極で少なく、オーストラリアの南の方で多いという波数1的パターンが多い。オゾンホールの形は年によりすこしづつ異なっている。2002年はかなり形態が異なっている ー> この年にmajor な突然昇温現象
廣岡、森、他 (2004) から 2002年南半球突然昇温の物理場の変化 下図は南緯60度、50hPaの2002年4月から10月までの東西に平均した温度の時間変化を示したもの。冬から春への温度変化のなかで(低温からだんだん温度が上がりつつあるとき)、急に温度が上がっている。この様な突然の温度増加現象を成層圏突然昇温と呼んでいる。また極の高温は温度風の関係から東風になる可能性があるので(夏の状況)、10mb以下で60度から極向きに温度が増加して東風が出来るとそれをmajor warming と呼んでいる。この現象は惑星波動と東西平均風の相互作用でおこっていると言われている。 惑星波動の全球東西波数s=1の振幅 波数s=2 MAY JUN JUL AUG SEP OCT Newman et al., 2005, JAS
左図に対応した、南半球の10hPa等圧面高度図(約30kmの高度)。単位はm、等値線間隔は200mの高さの違い。左図に対応した、南半球の10hPa等圧面高度図(約30kmの高度)。単位はm、等値線間隔は200mの高さの違い。 オゾン全量 2002年オゾンホールの急激な変動(9月19-29日) 9月19日 9月25日 9月23日 9月29日 波数1から、2が増えてくる オゾン偏差χ’とハイト偏差の大雑把な関係
二重の圏界面になっている Pan et al., 2009 JGRを例として 2:中緯度の圏界面付近の輸送の複雑さ 2001年4月11日の色は最小のdΘ/dz、赤実線は6PVunit線、赤点線は衛星track 150hPaでのPV 1PV unit = 10-6 m2s-1K kg-1 オゾン(上)とdΘ/dz(下)の緯度高度図