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ウォータービジネス ~ 2025 年 100 兆円市場をめぐって~. 私たちの生活になくてはならない水をめぐった様々な思惑が国境を越えてひしめき合っている。未曽有の金融危機のさなか、世界の企業はエネルギー、食糧、そして水に焦点を当ててビジネスチャンスをうかがっているという。 いったい今、水に何が起きているのだろうか。. 地球上のほとんどの水は海水. 0.76%. 0.01%. 1.74%. 水にまつわる世界と日本の現状. 高い上水道の普及率: 97% (2007) 水道事業は原則市町村が経営 多くの自治体が一部の業務のみ民間へ委託
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ウォータービジネス ~2025年100兆円市場をめぐって~ウォータービジネス ~2025年100兆円市場をめぐって~ 私たちの生活になくてはならない水をめぐった様々な思惑が国境を越えてひしめき合っている。未曽有の金融危機のさなか、世界の企業はエネルギー、食糧、そして水に焦点を当ててビジネスチャンスをうかがっているという。 いったい今、水に何が起きているのだろうか。 地球上のほとんどの水は海水 0.76% 0.01% 1.74% 水にまつわる世界と日本の現状 高い上水道の普及率:97% (2007) 水道事業は原則市町村が経営 多くの自治体が一部の業務のみ民間へ委託 水質試験検査業務、メータ検針業務、施設設計業務など 民間委託:運営コスト、市町村の業務軽減が主な目的 ※平成15年水道法改正により民間業者による浄水場の経営が可能に 97.49% 世界の人口は増加し続けている アジア(4倍)、アフリカ(8倍)を中心に世界の人口は増加し続け、2025年には全体で80億人を超える 高い出生率は経済成長を鈍らせ、消費分布を貧困層に不利な形に歪めることで貧困を増加させる ハイチ・インドネシア・ペルーの一部地域では、水道を利用できない貧困層は水道水の数十倍の価格で水を購入。 女性が産む子供の数:世界平均2.6人、先進国1.6人、開発途上国2.8人 労働力確保のための高い出生率 5歳未満児の死亡率が高い地域では、社会の生き残りのため高い出生率が必要 子どもは重要な労働力・経済的資産であり、自給自足農業以外に経済的機会がない状況では特に多産傾向 海水 氷河等 地下水 河川・湖沼等 深刻な水不足 工業生産率の降下、個人収入減少、経済悪化、食糧不足、食物価格の高騰 紛争:リオグランデ川(ナイル川、ガンジス川、チグリス・ユーフラテス川なども) 生態系難民:アフガニスタンでは干ばつで生活が困難になった人々が難民キャンプに避難 水不足の原因 温暖化による局地的降水 → 雨不足、洪水で水を溜められない 無理な地下水汲み上げ(農業など) → 塩害(農作物生産に適さない耕地が増え、砂漠化の原因になる)や地盤沈下などの悪影響 森林破壊 → 自然のダム(気象緩和、保水、水質浄化)の働き喪失 水需要は人口増加に比例する ※水ストレス 人間や環境が必要とする水量(及び水質)の不足を表す指標。再生可能な水資源量に対して人間が取水する水量の比率(臨界比率)が40%を越える場合「水ストレスが高い」と定義。 2025年までに40億人が高い水ストレスがある国に住むことになる 2025年の世界水需要は49130億㎥、世界一人当たりの平均年間再生可能水資源量は1995年の約2/3に減少、30億人以上が水ストレスに直面すると予測 例)広島県三次市 寺戸浄水場 平成15年から5年間民間企業へ運営管理業務を包括的に委託。浄水場に携わる市の従業者の削減、遠方管理システムの導入により、約30%の経費削減が可能。三次市では年間30万円の節減ができた。 ウォータービジネスとは
日本企業の「膜」技術 幕の技術は下水の再利用や海水の淡水化するためには必須。この分野で日本企業は世界を圧倒し、日東電工、東レ、東洋紡などがメインプレーヤー、世界シェア6割を占めるまでに成長している。 しかし日本企業は水ビジネスにおいて、素材である膜を供給するだけに留まっている。主な原因としては、民間企業は上下水道の管理・運営の実績がないため、海外への入札が制限されることが挙げられる。 100兆円の巨大市場において膜など素材事業の割合はわずか1%(1兆円)程度。多くを占めるのは管理や運営業務(約90%)である。そこで日東電工は膜の納入に加え、管理・運営サポートを提供し始めている。 また、政府の水ビジネス支援「海外への水ビジネスへの展開支援」第一次補正予算案で48億円を計上し、民間では「海外水循環システム協議会」が発足した(加盟数38社)。 政府開発援助(ODA) 水と衛生分野の日本のODAは02年~06年までで計55億ドル。現在、日系企業の受注シェアは2割程度だが、企業の努力次第で今後も伸びる余地あり。 [民間による水ビジネスは水不足問題の解決になるのか?] 公的セクター 金融機関 ゼネコン ① 河川や海などから水を引き、飲み水などを作る ② きれいになった水を一般家庭や工場に水を引く ③ 検針や料金の徴収などの「顧客サービス」、クレーム対応も ④ 汚水を河川や海に戻すプロセス、再利用する事業も。 商社 プラント 電力会社 化学メーカー 管理会社 研究機関 コンサル • Water Baron:1. Veolia(仏) 2. Suez(仏) 3. Thames Water(英) • 総売上(2007): 1.4兆円 従業員:世界60ヶ国にて8万2867名在籍 • 水循環統合管理:上水供給から廃水処理までの全過程を計画、ファイナンス、設置、運営 • 1853年に設立。現在はSuez社と共に世界中の上下水道民営化プロジェクトの85%を占めている。2002年参入した中国では19の都市で25個のプロジェクトを展開中 • ヴェオリアウォータージャパン:2002年に西原環境テクノロジーを買収して設立。自治体から上下水道の運営を受託している。 民営化を促進する世界銀行 → 185ヶ国の中央政府からなる国際連合の専門機関 *IFC=民間企業への融資を行う。2000-2008年の間において行われた50兆円の融資の約半分がVeolia, Suez他4社のプロジェクト *MIGA=紛争等の理由でプロジェクトの採算が見込まれなくなった際に保険を発行 *PPIAF=開発途上国にインフラ整備の民営化を促進 *ICSID=運営が失敗して利益が損なわれた企業が相手国の政府に法的処置をとる際の仲裁機関 世界水会議(1996設立) ⇒世界の水問題への解決と国際政策を包括的に検討するシンクタンク。IMF、世界銀行、NGO等が集結し、毎3年ごとにフォーラムを開催。 ⇒現会長Loic Fauchonは就任前Veolia社とSuez社の子会社の社長を務めていた。 「国際連合と手を組み、’水道事業は民営化 すべき’の世論の確立が狙い」・・・? 日本の戦略 海外水循環システム協議会 • 成功例:上海市 • =2002年、Veolia社とSuez社が50%ずつ出費して設立。 • 中国初の水循環総合管理を実施 • 現在の給水人口265万人 • 近年浄水場を増設して給水能力を25%引き上げたが、家庭用水道料金の値上げはまだ一度もない。 • 失敗例:アルゼンチン、ツクマン州 • =1993年にVeolia社により上下水道が民営化 • 徴収税金額は当初の契約より95%引き上げ • 水道からは貯水場の壁から剥がれたマンガンによって茶色く濁った水が流れる • ⇒住民ストライキ勃発。37.8%が支払い不可 • Veolia社「ストライキの被害は約357USドル」 • ⇒ICSIDを通じて地元政府に同額を請求 パリの公営化 1985年からVeolia社とSuez社と25年間の上下水道の営業における契約を結んでいたパリ市。 しかし2009年末に契約を打ち切り、「パリ水道公社」の設立に乗り出す。 「より良い価格とより良いサービスを取り戻すため」 「オールジャパン体制」 日本は優れた技術を有するにもかかわらず、海外への展開は個々の事業に任されている。世界での競争力強化のため、関係省庁・研究所などと協力し、世界に存在感を高める。 異業種の民間企業連合 海外水循環システム協議会は水循環にかかわる全システムにかかわることができるよう、さまざまな企業連合となった。 参考文献 「朝日新聞グローブ」第16号(朝日新聞社、2009)、“Dried Up, Sold Out”. Food and Water Watch. March 2009、ヴェオリアウォータージャパン株式会社 “Veolia Environment: A Corporate Profile”. Public Citizen. February 2005、落合栄一郎(日刊ベリタ、2009年3月18日)、水道事業における民間的経営手法の導入に関する調査研究報告書 平成18年度事業所・企業統計調査 (順不同)