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自殺企図の精神医学

自殺企図の精神医学. 福島県精神保健福祉センター     畑 哲信. ストレスの管理 (社会的取り組み). ハイリスク者のケア. ・精神的健康(睡眠、休養、余暇、支えあい). ・精神疾患(早期発見・治療  回復支援)、・ 自殺未遂者. ・社会的要因への介入 (労働・経済環境など). ・多重債務者・介護負担等. ・安全管理(駅・農薬等). 自殺対策のポイント 自殺対策の諸レベル.  精神疾患の1次予防. 精神疾患の2次・3次予防. ・ハイリスク者を見つける. 自殺後 の対応. 遺族ケア. POST- VENTION. PREVENTION( 予防).

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自殺企図の精神医学

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Presentation Transcript


  1. 自殺企図の精神医学 福島県精神保健福祉センター    畑 哲信

  2. ストレスの管理 (社会的取り組み) ハイリスク者のケア ・精神的健康(睡眠、休養、余暇、支えあい) ・精神疾患(早期発見・治療 回復支援)、・自殺未遂者 ・社会的要因への介入(労働・経済環境など) ・多重債務者・介護負担等 ・安全管理(駅・農薬等) 自殺対策のポイント自殺対策の諸レベル  精神疾患の1次予防 精神疾患の2次・3次予防 ・ハイリスク者を見つける 自殺後 の対応 遺族ケア POST- VENTION PREVENTION(予防) INTERVENTION(介入)

  3. 自殺のリスク • 自殺のリスク(欧米の研究:OR=相対危険率)・精神疾患の入院歴:OR=43.1 (退院後1週間以内:OR=226.0)・3週間以上の病休:OR=1.9・低収入(下位1/4):OR=2.7・無職        :OR=1.2・単身        :OR=1.9・年金生活     :OR=1.6 • その他:近親者の自殺、自殺未遂歴、男性、喪失体験(財産・健康・地位など)※自殺未遂は定義(線引き)が難しく統計になりにくい

  4. 自殺者の自殺未遂歴の有無 ※意味づけには一般人口での自殺未遂頻度との比較が必要

  5. 自殺未遂と自殺既遂(手段)

  6. 自殺未遂と自殺既遂(性別)

  7. 自殺未遂と自殺既遂(診断)

  8. 診断(初回例)

  9. 診断(複数回例)

  10. 複数回自殺企図(年齢・性別)

  11. 自殺企図の転帰(初回例)

  12. 自殺企図の転帰(複数回例)

  13. 自殺と自殺未遂の構造

  14. 自殺の構造 • 自殺の行為は全く社会的・自らの学習によって得られた行動ではない(他人/社会から学びとるしかない) • 自殺の背景はかなり生物学的・生存本能を覆すだけの力を持つ(ただし、社会的状況がきっかけとはなり得る) • 自殺の影響は実存的なもの・「生きる意味とは?」(・・生きるのに「意味」を知る必要があるのか?)

  15. 影響 自殺の構造 なぜ? ・・なぜ止められなかった? ・・・生きる意味は? 生活ストレス 自殺 家庭 表現・行動 死にたい 死んだら楽・・ 死んでお詫び・・ 生きる資格がない・・ お金 寝込む 八つ当たり 取り乱す ・・・・・ 仕事 孤立 抑うつ・衝動

  16. 自殺について考えておくべきこと • ストレスがあるから自殺??・ストレスはきっかけではあっても、・ストレスがあれば必ず自殺というものではない • 自殺は心の病気?・ストレスによって病気に追い込まれる面もある・「社会」を抜きに自殺はない(本能による自殺は自殺でない) • 生きる意味を持つことが自殺予防に必要?・生きる意味や自殺しない方法を問わなければならないのはすでに不健康なのかもしれない

  17. 自殺未遂の構造 • 自殺未遂の行為は「学習可能」・自殺未遂後の生物学的・社会的反応による学習 • 自殺未遂の背景は生物学的&社会的・反復によって意味が変化する • 自殺未遂の影響はかなり社会的なもの・周囲が対応を迫られる

  18. 自殺未遂 周囲への影響 「どうして!」 「これは大変!」 ・・「またやったの!」 生活ストレス 家庭 お金 達成感? カタルシス? 自殺未遂 仕事 孤立 抑うつ・衝動

  19. 自殺未遂について考えておくべきこと • ストレス⇒心の不調 の構造は自殺と同じ • 反復する自殺未遂・手段の違い・自殺未遂の心理社会的結果が未遂行動を強化(自殺未遂は不適切な自己治療?)・反復する結果、周囲の反応が変化(問題解決から遠ざかる方向への変化)(周囲への介入が不可欠)

  20. 自殺と関連する精神疾患

  21. 自殺の精神医学的背景>自殺者の9割は精神疾患に該当<自殺の精神医学的背景>自殺者の9割は精神疾患に該当< ’86-’91の調査による推計値 現在はうつ病圏がさらに増加

  22. 「自殺者のほとんどが精神疾患」 と言われると・・・「自殺者のほとんどが精神疾患」 と言われると・・・ • ずっと精神科にかかっている人が自殺?(自分には関係ない?)・・・という誤解 今、精神科にかかっていない人にも十分に当てはまる • 心理的背景による精神疾患・大きなストレスによって精神疾患を発症(発症後、早い時期に自殺してしまう) • 精神疾患に罹患しながら未受診・「単なるストレスだから我慢して当然」・「精神科受診は根本的な解決につながらない」 (借金をなんとかするのが先決)

  23. うつ病と自殺企図

  24. うつ病の症状 悪循環の認知・習慣 焦り:なんとかしなければ・・    休んでいられない・・    仕事   余暇  食事 睡眠 でも体が動かない エネルギー の枯渇 もうだめだ みんなに迷惑 回復プロセス さえ働かない 悪化プロセス: 焦り・無理・不適応感がうつをさらに悪化

  25. うつ病と自殺 • 抑うつや衝動性・焦燥感などが関連 • 精神病症状(妄想など)を伴うとさらにリスクが高い • 自殺を防ぐ・医療(入院、自殺を防ぐ薬物療法・・)・家族のサポート

  26. 統合失調症の症状「自分の(頭の中の)世界に閉じこもる病気」統合失調症の症状「自分の(頭の中の)世界に閉じこもる病気」 現実の世界 頭の中 妄想 ばかだな・・ 「いやがらせされる・・」 幻聴 自分の世界に 閉じこもる あいつ、あんなこと考えている・・・ 引っ込み思案 意欲低下 集中できない

  27. 統合失調症における自殺・自傷 • 幻聴や妄想に基づくもの「飛び下りれば助かる・・」(自殺?)「お前がいれば世界が滅びる・・」「指から悪いものが出ているので切ったのです」 • 症状の苦痛によるもの・幻聴や妄想に伴う苦痛から逃れようとするもの • 抑うつ症状によるもの・病気であることや社会適応が妨げられていることのために自信喪失、抑うつ・治療によって急速に病識が回復し自分の異常に気付く(awakenings)

  28. 統合失調症における自殺予防 • 統合失調症の自殺率はうつ病と同等 • 自殺につながる可能性のある幻覚妄想に注意する(⇒薬物療法、入院) • 抑うつへの対応・自信の回復(ポジティブフィードバック)・薬物療法・ソーシャルサポートの支援(孤立の解消・社会の中での居場所)・障害の「受容」/価値観、人生観・・

  29. アルコール依存症の特徴(お酒に左右されてしまう病気)アルコール依存症の特徴(お酒に左右されてしまう病気) 泣き落とし 「もうやめるから今回だけ  借金をなんとかして」 体も生活もぼろぼろ やめなければ・・でもやめられない 脅し 「おまえがやってくれ  ないからまた飲むんだ」 俺はダメだ。もう酒しかない。 やめようと思えばいつでもできる 共依存・イネイブリング 「私がなんとかしてあげなければ」

  30. アルコール依存症からの回復 体も生活もぼろぼろ 底つき:もう自分では   どうしようもない 回復の道があるんだ お酒について私は なんにもできません 仲間の力を借りて 生活を取り戻そう

  31. 失業、アルコール依存・・ • 1年前にリストラにあってから、再就職できない。ストレスから不眠が重なり、アルコールが増える。今は昼間から飲むこともしばしば。 • 受診を勧めると「仕事がないからこうなっているんだろ。なんでもいいから紹介しろ!」と逆切れされた。そのような状態だとなかなか雇ってもらえないと言うと「オレの勝手だろ。酒をやめるくらいなら酒で死んだほうがいい」と開き直ってしまう。

  32. アルコール依存症と自殺 • アルコール依存症に伴う自殺リスク・慢性的:依存症に伴う抑うつ、社会不適応・飲酒時:判断力低下(歯止めがきかなくなる)      毒性(急性アルコール中毒死)・底つき:追い込まれた状態は最もリスクが高い(自殺未遂は介入のチャンスでもある) (うまくタイミングをとらえないとチャンスを逃す) • 他の精神疾患についてもアルコール依存症を合併するとリスクが高くなるので注意が必要(例:うつのときに飲酒量が増える)

  33. 境界性パーソナリティ障害 • 情動の不安定(気持ちの浮き沈みが激しい)、激しい感情表出(表出の振幅が大きすぎる) • 見捨てられ不安、空虚感(満たされない気持ち) • 理想化とこきおろしの両極端を揺れ動く • 自信過剰と自信喪失 • 衝動性制御の不良と行動化(自殺未遂・自傷;性的逸脱;薬物乱用など)

  34. パーソナリティ障害の心性 背景には不安 「嫌われたくない」 「自分に自信がない」 ちょっとしたことで落ち込み、 衝動的、他人のせいにする 突然の 変化 「あなただけが親友」(過剰な期待) 「嫌われたくなくて、つい笑顔」 「私を仲間はずれにした」 「あなたのせいで落ち込んだのよ」 「もう絶交!」 自己嫌悪 ~リストカット

  35. 背景には「不適応」がある ギャップが不適応 の症状を生む 周りの期待・要請 自分の理想 問題行動 現実

  36. 解決の道 医療(ストレスを和らげる) 認知行動療法 周りの期待・要請 を引き下げる コミュニケーションを図って調整 自分の理想 を引き下げる身近な目標を設定する 対人関係療法 現実 を引き上げる(技能の習得など) 支援 (ギャップを狭める)

  37. 治療を妨げている要因 • 困難感を感じていないとき(不安・抑うつ等の精神症状を持たない) • 倫理的な感覚が全く欠如しているとき(犯罪行為への罪責感・ためらいがない) • 自分自身の問題を認識せず、専ら他罰的にとらえる場合(「あなたが悪い。私は悪くない」)(自分の問題を認めることに耐えられない) • 自分自身を変えようとする努力を放棄した場合(「そういう努力はするつもりはない」) ※うすうす自分の問題を感じていることもある

  38. 病識と治療意欲 「周りが悪い」 自分の問題とは 思っていない 自分は病気だと思わない 困ってはいる 苦痛・問題行動 治療中断 大きく改善 部分的には改善 治療 治療継続 自分はおかし かったのかな 自分でも工夫が必要かな パーソナリティ障害など 統合失調症など

  39. 対応の考え方 <支援と問題行動への対処とを分けて考える> • 支援できること:自分自身の問題として解決しようとする努力に対しては支援できる • 支援できないこと:他人をなんとかしようとすることはお手伝いできない • 支援の限界:支援者がなにからなにまで支援できるわけではない(最終的には自立し頼らず生活できることを目指すべき) • 問題行動:支援者や他人への迷惑行動があるときは支援できないし、厳しく対処する

  40. 「あいつがイライラさせるんだ!」 「他人をどうこう  することはご相談  できません」 「でも、イライラさせられるという  ことでお困りなのはわかります。  その気持ちをどうするか、  その方とどんなふうにつきあえば  いいかなどは一緒に考えていく  ことができますよ」 「だから、  あいつをなんとか  してくれ!」

  41. 枠組みを設定すること • 枠組みを守る(時間を守る、治療関係に対して破壊的な行動や自傷他害には厳しく対応/受け入れない/もちろん治療者もルールを守る) • 治療者の役割が限定的であることを本人も治療者も確認(「治すのは基本的にはあなた」)(本人が「自分の問題」として向き合わない限り、改善は望めない)

  42. 支援のコツ • 学習のしかたに特徴がある・他人からの指示には反発・プレッシャー・自分で考えたことしか身につかない • 問題行動は介入のチャンス(入院の適応、厳しく問題点を指摘・指示する) • ウラの気持ちを知れば行動が理解しやすい(「就職がきまって明日から仕事です」-そう、よかったね-の翌日に自殺未遂・・・なぜ?)

  43. 「あいつがイライラさせるんだ!」 (仕事がうまくいかなくて  自信を失っているから  てきぱきできる人に  敵意を持ってしまうの  かな?) (自分に自信があれば  こんなにあいつのこと  を気にしないんだろうな) (他人のせいにしているうちは どうしようもないわね・・) 「あら、そう? それで?」 「なぜでしょうかね?」

  44. 治療(支援)者のあり方 • 面接場面では主に対人関係について振り返る • 「自分で判断・決定」を徹底 • 治療者の価値判断を押し付けない(×誉めすぎる、×批判しすぎる) • つかず離れずの関係・現実的な言動にはプラスの評価・なげやりな言動には厳然と・空想的な(見栄をはった)言動にはよそよそしく・問題行動の直後には指示的/決め付ける • ウラの気持ちに働きかける(初仕事だから頑張ります・・実は不安で一杯・・頑張りすぎると疲れるよ)

  45. パーソナリティ障害の治療 「自分に自信がない」 「ひどい人!」 他人に期待し すぎたのかな 自分もそんなに 捨てたものでも ないんだ 生活を振り返る

  46. パーソナリティ障害:家族教育 • 対応の原則を説明する・逸脱行動に対しては防衛策を考えること・距離を持つこと;「手をかけない勇気」(過保護にならないこと)(振り回されないこと)(余計な刺激を与えないこと) • 具体的な対応を相談する・感情的になる場合の具体的な対応(その場をはずして気持ちが静まるのを待つなど)・つい過保護的になってしまうとき(自分の言葉数に気をつけてみる)

  47. 自殺未遂の直後

  48. 自殺未遂者の特徴 (飛鳥井による) • 生命的危険性の乏しい軽症自殺未遂者・若年女性が突出して多い・少中等量の過量服薬、浅い手首自傷・神経症、軽症うつ病、パーソナリティ障害 • 生命的危険性を伴った重症自殺未遂者・男性、中高年・飛び降り、飛び込み、大量服薬・服毒、縊首、焼身、ガスなど・精神病圏、重症うつ病、アルコール症

  49. 自殺未遂者への対応 (飛鳥井による) • 良好例-簡単な精神的援助で足りる・言葉や表情が和らいで自然な感情交流が可能・診察や処置に協力的・もうしない、助かってよかったなどの肯定的表現・家族は患者の行動を共感的にとらえている • 不良例-救急入院を含め精神科治療・言葉や表情に緊張感が強く自然な感情交流が見られない。病的体験。・診察や処置に拒否的、言動がまとまらない・助かったことへの肯定的表現が出てこない・家族は患者に対して拒否的、批判的

  50. 評価 • 未遂の手段、過去の未遂歴、精神状態、背景となる生活ストレス状況、未遂や再企図への姿勢など⇒ 精神科診断、心理状態の判断をもとに、  医療・支援の必要性、再企図の切迫度と  対応の困難度を判断 • 長期の治療戦略の中で対応を判断⇒ 精神科主治医との連携

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