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素数について 松本茂樹

素数について 松本茂樹. BC500 頃 古代ギリシャの数学. 古代ギリシャの数学者ピタゴラスは「万物は数である」という言葉を残した。今から2500年ほど前のことである。ピタゴラスは数学を 数論・音楽・幾何学・天文学の四つのマテーマタ (必修科目、学ばれるべきもの)からなるものとし、森羅万象を数(自然数)と結び付けて解釈し、論じた。. 2以上の整数で、1と自分自身以外に約数を持たないもの。 2,3,5,7,11,13,17,・・・と(次第に“稀薄”になりながらも)素数の列は果てしなく続いていく。

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素数について 松本茂樹

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Presentation Transcript


  1. 素数について松本茂樹

  2. BC500頃 古代ギリシャの数学 古代ギリシャの数学者ピタゴラスは「万物は数である」という言葉を残した。今から2500年ほど前のことである。ピタゴラスは数学を数論・音楽・幾何学・天文学の四つのマテーマタ(必修科目、学ばれるべきもの)からなるものとし、森羅万象を数(自然数)と結び付けて解釈し、論じた。

  3. 2以上の整数で、1と自分自身以外に約数を持たないもの。2以上の整数で、1と自分自身以外に約数を持たないもの。 2,3,5,7,11,13,17,・・・と(次第に“稀薄”になりながらも)素数の列は果てしなく続いていく。 物質界における“分割不可能(=atom)”な構成要素である原子(アトム)に相当するものが数学の世界における素数(=素因数分解が不可能な数)であるといえる。 近年、巨大素数が情報セキュリティに関連して注目を集めている。 素数とは・・・

  4. 物質界における“分割不可能(=atom)”な構成要素である原子(アトム)に相当するものが数学の世界における素数(=素因数分解が不可能な数)であるといえるでしょう。素数の解明にむけての素数研究の重要性もまたこのアナロジーを通じて理解することができると云えましょう。一例ですが、「素因数分解を通じて、もとの自然数に関する性質が個々の素因数に関する条件として完全に記述できる」というタイプの定理のひとつとして、「正多角形の作図可能性」があげられます。物質界における“分割不可能(=atom)”な構成要素である原子(アトム)に相当するものが数学の世界における素数(=素因数分解が不可能な数)であるといえるでしょう。素数の解明にむけての素数研究の重要性もまたこのアナロジーを通じて理解することができると云えましょう。一例ですが、「素因数分解を通じて、もとの自然数に関する性質が個々の素因数に関する条件として完全に記述できる」というタイプの定理のひとつとして、「正多角形の作図可能性」があげられます。 2, 3, 5, 7, ・・・ メルセンヌ素数 フェルマー素数

  5. 素数は、最も古くまた最も新しい研究テーマである。素数は、最も古くまた最も新しい研究テーマである。 素数分布に関するリーマン予想はいまなお未解決のまま現代数学の最高峰を形作り、世界の最高の頭脳が日夜この超難問に取り組んでいる。 一方、素数は情報社会における暗号技術において常用され、ネットワークセキュリティに不可欠な役割を果たしている。

  6. 素数と現代暗号 現代暗号の代表格であるRSA公開鍵暗号系においては、整数(巨大素数の積)の素因数分解の困難が正しく暗号強度の鍵であり、これによって暗号の安全性が保たれている。従って、もしもリーマン予想が解かれることになれば素数の分布の様子がより正確に把握されるので、極端な云い方をすれば「暗号が暗号でなくなる」可能性がある。情報通信における個人情報の遣り取りや電子的な決済の仕組みが大幅な変更を余儀なくされるということも十分考えられるのである。

  7. 素数研究小史 定理(BC500頃) 素数は無限に多く存在する。 定理 自然数は素数の積として、素数を掛け合わせる順番を除けばただ一通りの方法で書き表すことができる。 前者は「素数の多さ」を述べた数学史上最初の定理であり、「ユークリッドの素数定理」とよばれることがある。 後者は「初等整数論の基本定理」とも呼ばれ、定理の主張の中で「素数の積としての表現が一意的であること」が重要である。18世紀の数学者オイラーは素数論において(リーマンゼータ関数のオイラー積表示という形で)この定理に(関数等式による)解析的解釈を与え、近代的な素数研究の端緒を開いた。

  8. 「素数が無限にある」ことの証明は、BC300年頃の著作といわれるユークリッドの『原論』に背理法によるものが記されている。巧妙で短い証明であるので以下にそれを記す。「素数が無限にある」ことの証明は、BC300年頃の著作といわれるユークリッドの『原論』に背理法によるものが記されている。巧妙で短い証明であるので以下にそれを記す。 ユークリッドの素数定理:「素数が無限にある」こと証明 素数 2, 3, 5, 7, ・・・・が有限個で尽きているとする。このとき、すべての素数の積に1を加えた数nは(どの素数よりも大きいので)合成数である。従って、nは真の約数を有することになるが、真の約数のうちで最小のものは素数であることに注意すると、nは素数の約数を有するが、一方(nの作り方から)nはどの素数で割っても1余ることがわかる。これは矛盾であるので、「素数 2, 3, 5, 7, ・・・・が有限個で尽きている」という仮定が否定し去られる。Q.E.D.

  9. 「素数の逆数の和は無限である」  乗法演算の観点からは「それ以上分解し得ない」という意味で物資の世界でいう原子(アトム)のような存在である素数は、それ自体は自然数全体の中で“不規則に”分布している。「素数の無限性(無限に多く存在すること)」は今から約2500年も前に古代ギリシャにおいて知られていたが、素数解明の次のステップはオイラー(1707-1783)の出現まで約2000年以上待たねばならなかった。すなわち、1737年の「素数の逆数の和は無限大である(オイラー)」という大発見がそれであり、現代的な数論に連なる画期的な成果であった。 定理(L. Euler, 1737年)

  10. 素数を漏れなく拾い上げながらその逆数を順に加えていくという計算は最新鋭の計算機を用いて実行したとしても漸く4を超える程度であり、それほどに(無限にある素数のうちで)知られているものは“ほんの僅か”であるともいえる。GIMPS (Great Internet Mersenne Prime Search 世界最大の素数を求め続ける分散コンピューティングプロジェクト)によって現在知られている最大の素数は44番目のメルセンヌ素数M(44)であり( 980万8358 桁の整数であるが)、この素数までの素数の逆数和を求めてみても17程度である。(なお、M(44)以下の素数がすべて得られているというわけではないので「17程度」というのはあくまで理論値である。) このような有限和の具体的な数値例からも、「素数の逆数の和は無限大である」ということを看破したオイラーの偉大さが見て取れる。 Marin Mersenne 1588 - 1648

  11. オイラーに先立つこと約400年、フランスのオーレムは「自然数の逆数の和が無限大である」という結果を(1350年頃に)得ており、オイラーの「素数の逆数の和」の評価に本質的な役割を果たした。オイラーに先立つこと約400年、フランスのオーレムは「自然数の逆数の和が無限大である」という結果を(1350年頃に)得ており、オイラーの「素数の逆数の和」の評価に本質的な役割を果たした。 定理(Nicole Oresme) Nicole Oresme 1323-1383

  12. オイラーは、このオーレムの結果に自然数の素因数分解から導かれる次の不等式評価を組み合わせることにより、「素数の逆数の和が無限大である」ことを導いた。オイラーは、このオーレムの結果に自然数の素因数分解から導かれる次の不等式評価を組み合わせることにより、「素数の逆数の和が無限大である」ことを導いた。

  13. 上の不等式の成立は、左辺の有限積の因数1/(1-1/p)を等比級数で書き換えた上で(有限積を)展開してみれば分かる。実際、自然数nを素因数分解することにより、「1/n が、左辺の等比級数達の積を展開することによって得られる項の何れかとして現れる」というのが証明のポイントである。 無限乗積の発散から無限級数の発散を導くことでオイラーの主張である「素数の逆数の和が無限大であること」が証明されるが、(無限乗積と無限級数の収束・発散に関する一般的な考察でともいえる議論であるため)ここではその詳細には立ち入らない。

  14. オイラーによるゼータ関数の発見 ゼータというはギリシャ文字ζのことであり、ドイツの数学者リーマン(1826-1866)が素数研究に本質的に寄与する関数に対して与えた記号であり、その実体は“名付け親”のリーマンに先だってオイラーが導入し研究を進めたものであった。

  15. ゼータ関数ζ(s)の上記の二通りの表現において、無限積は素数全体にわたり、一方、無限和は自然数全体をわたる。ゼータ関数ζ(s)の上記の二通りの表現において、無限積は素数全体にわたり、一方、無限和は自然数全体をわたる。 オイラー積の公式(1737年) 素数全体にわたる無限積と自然数全体にわたる無限和の結びつき自体が「素因数分解の可能性と一意性」を巧みに表現しており、自然数の逆数和に関するオーレムの結果が(この等式を通じて)素数の逆数和に関するオイラー定理(1737年)を導いた。

  16.  ドイツの数学者リーマン(1826-1866) は、素数の数え上げに関する精密で明示的な素数公式を作り上げたうえで「ゼータ関数の虚のゼロ点」を把握することで素数全体(素数分布)を捉えようとする雄大な構想を描いて見せた。  リーマン予想への挑戦はヒルベルトのスペクトル理論の洗礼を受けながら、20世紀へと受け継がれ、さらに21世紀を向かえても依然として未解決であり、活発な研究が続けられてる。

  17. 素数と人類 宇宙生命体に委ねられた 素因数分解 電波(ナミ)に託したメッセージ(フミ) 素因数分解に関するひとつのエピソードを紹介 したいと思う。 それは、アレシボ・メッセージ (Arecibo message)についてのことである。 1974年11月16日、プエルトリコのアレシボ天文台の305m巨大電波望遠鏡から、24,000光年離れたヘラクレス座球状星団 M13へ向けて、はじめて電波メッセージが発信された。この素数の暗号電報が「アレシボ・メッセージ」と呼ばれるものである。  波長は2380MHz近傍。コーネル大学(Cornel University)のカール・セーガン(Carl Segan アメリカ)らが中心となって作成したそのメッセージは、素数・DNA・人間・太陽系などを表す内容の「0と1からなる1679文字」の“暗号文”である。 通信文である1679個の『0000001010‥‥‥』を受信した宇宙生命体が見事にこの合成数1679を素因数分解してくれたなら・・・(次のような“メッセージ”が浮かび上がってくるというものである。) アレシボ天文台の 電波望遠鏡

  18. メッセージは1,679個の0 or 1から成っている。この1679という数は23と73という二つの素数の積であり、23 × 73 または 73 × 23 の 2通りにしか素因数分解できないことから選ばれた。すなわちこのメッセージは、解読者が信号の0 or 1 の列を2次元の四角形に並べ替えることを意図して作られている。このメッセージを23行73列に並べ替えても意味のある図形にはならないが、73行23列に並べ替えると左図のように認識可能な図形となる。このメッセージを左から右へ、また上から下へ読むと、以下のような情報が記述されている。 1から10までの数字 水素・炭素・窒素・酸素・リンの原子番号 デオキシリボ核酸 (DNA) のヌクレオチドに含まれる糖と塩基の化学式 DNA に含まれるヌクレオチドの数 DNA の二重螺旋構造の絵 人間の絵と人間の平均的な身長 地球の人口 太陽系の絵 アレシボ電波望遠鏡の絵とパラボラアンテナの口径

  19. 素数は、最も古く、また最も新しい研究テーマである。素数は、最も古く、また最も新しい研究テーマである。 素数分布に関するリーマン予想はいまなお未解決のまま 現代数学の最高峰を形作り、世界の最高の頭脳が日夜 この超難問に取り組んでいる。 一方で、素数は情報社会における暗号技術において常用され、 ネットワークセキュリティに不可欠な役割を果たしている ことは既に述べたとおりである。 また、あらゆる言語・文化を超越して、宇宙の彼方に向けて発せられた人類からのメッセージにも素数が用いられたことは注目されてよい。 人類という知的生命体の存在証明としての「素数」 人類 ---- それは“素数を知るもの”

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