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光化学 6 章 6.1 .5 Ver. 1.0. FUT 原 道 寛. 光 化学 I. 6.1.5. 光反応機構と立体化学. A. B. C. Woodward - Hoffmann 則. 基底状態の軌道相関図
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光化学6章 6.1.5 Ver. 1.0 FUT 原 道寛
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C
Woodward-Hoffmann則 基底状態の軌道相関図 基底状態のエチレンにおいては2つの π 結合に4つの π 電子が所属している。 ウッドワード・ホフマン則によれば「反応の前後において反応に関与する電子の所属する分子軌道の対称性は保存される」から、反応前に2つの π 軌道にあった電子は反応後に1つの σ 軌道と σ* 軌道に所属することになる。 π 軌道にあった電子は π* 軌道より生成するもう1つの σ 軌道には移ることができない。これは軌道の対称性が異なっているからである。 このようにして基底状態のエチレン同士が反応した場合、σ 軌道と σ* 軌道に電子が所属した2電子励起状態のシクロブタンが生成することになる。 2電子励起状態のエネルギーは熱的に供給するには大きすぎるため、活性化エネルギーの障壁を越えられず反応は起こらない。 このように反応系と生成系の軌道の対称性によって起こらない反応を対称禁制であるという。
Woodward-Hoffmann則 • 一電子励起状態の軌道相関図 一方、片方のエチレンが1電子励起状態、もう片方のエチレンが基底状態にある場合を考える。 この場合、2つの π 軌道に3つの π 電子が、1つの π* 軌道に1つの π 電子が所属している。 反応前に2つの π 軌道にあった電子は反応後に1つの σ 軌道と σ* 軌道に所属することになる。 一方 π* 軌道にあった電子はもう1つの σ 軌道に所属することになる。 このようにして1電子励起状態のエチレンと基底状態のエチレンが反応した場合、σ 軌道に3つの電子、σ* 軌道に1つの電子が所属した1電子励起状態のシクロブタンが生成することになる。 この励起状態分のエネルギーは最初に片方のエチレンを1電子励起状態にする(通常は光によって与えられる)エネルギーでまかなうことができる。 そのため活性化エネルギーの障壁を越えて反応が可能となる。 このように軌道の対称性の点からは起こることが許されている反応は対称許容であるという。
ペリ環状反応/周辺環状反応 • π電子系を含む複数の結合が環状の遷移状態を経て反応中間体を生成せずに同時に形成、切断される反応様式のこと
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C D E
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C D
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C D
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C D E
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C D
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C D
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C
6.1.5.光反応機構と立体化学 A B C
単語帳 • 協奏反応/きょうそうはんのう/連続した電子の移動により結合の形成、切断が複数同時に進行する反応。 • 吸エルゴン反応(きゅう-はんのう)はギブズエネルギー変化が正である反応をいい、非自発反応と同義である。 • β開裂:ラジカルの付加反応の逆反応がβ(ベータ)開裂反応である。 • ラセミ化(ラセミか、racemization) とは有機化学や無機化学においてある物質がキラリティーを持っているとき、量が多い方のエナンチオマーがもう一方のエナンチオマーに変わることによって系の鏡像体過剰率(ee) が減少、または消失するような化学反応。反応の要因は熱、あるいは酸や塩基などの反応剤である。原系が旋光性を持っていた場合はそれが弱まるか、消失する。 • ラセミ体:キラル化合物の2種類の鏡像異性体(エナンチオマー)が等量存在することにより旋光性を示さなくなった状態の化合物のこと • メソ化合物もしくは メソ体 とは立体化学の用語のひとつで、分子内にキラル中心を持つが、同時に対称面も持つためにキラリティーを示さない化合物のこと • キラリティー(chirality) は、3次元の図形や物体や現象が、その鏡像と重ね合わすことができない性質。掌性。 • ノリッシュI型反応(Norrish type I reaction) ではケトンまたはアルデヒドが光照射を受け、カルボニル炭素と、α炭素または水素との結合がホモ開裂して2個のラジカルとなる。 • ノリッシュII型反応(Norrish type II reaction) ではケトンが光照射を受け、カルボニル基の酸素がラジカル的に γ位の水素を引き抜いてビラジカルを与える。このビラジカルからさらに α位と β位の炭素-炭素結合がラジカル的に開裂し、エノール(速やかにケトンに異性化する)とオレフィンに変わる。または、ビラジカルが分子内で再結合してオキセタン環に変わる。
参考文献 • 光化学I 井上ら 丸善(株) • ウィキペディア 他