1.12k likes | 1.58k Vues
細菌と疾病. 細菌の分類. グラム陽性菌 Firmicutes 門 グラム陽性球菌 グラム陽性芽胞形成桿菌 グラム陽性芽胞非形成桿菌 芽胞非形成偏性嫌気性菌 マイコプラズマ グラム陽性菌 Actinobacteria 門 不規則型の芽胞非形成グラム陽性桿菌 マイコバクテリア(抗酸菌) 菌糸形成菌. 細菌の分類. グラム陰性菌 Proteobacteria 門 グラム陰性球菌,グラム陰性球桿菌 グラム陰性好気性桿菌 グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科) グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科以外) 短型らせん菌
E N D
細菌の分類 グラム陽性菌 Firmicutes門 グラム陽性球菌 グラム陽性芽胞形成桿菌 グラム陽性芽胞非形成桿菌 芽胞非形成偏性嫌気性菌 マイコプラズマ グラム陽性菌 Actinobacteria門 不規則型の芽胞非形成グラム陽性桿菌 マイコバクテリア(抗酸菌) 菌糸形成菌
細菌の分類 グラム陰性菌 Proteobacteria門 グラム陰性球菌,グラム陰性球桿菌 グラム陰性好気性桿菌 グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科) グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科以外) 短型らせん菌 ブルセラ属,バルトネラ属 リケッチア クラミジア Chlamydiae門 スピロヘータ Spirochaetes門 グラム陰性無芽胞嫌気性菌 Bacteroidetes門およびFusobacteria門
グラム陽性菌 Firmicutes門
ブドウ球菌属 黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus 0.5~1.5 mm,球菌,無鞭毛 通性嫌気性,食塩耐性,マンニット分解 皮膚,鼻前庭部粘膜の常在菌 コアグラーゼ・・・血漿凝固作用 プロテインA・・・抗体作用抑制 化膿性炎症 ← 溶血毒 hemolysin 伝染性膿痂疹(とびひ) 表皮剥脱性皮膚炎 ← 表皮剥脱毒素 毒素性ショック症候群 ← TSST-1 スーパー抗原 → ショック症状 食中毒 ← 腸管毒素 enterotoxin 治療:β-ラクタマーゼ阻害薬 + ペニシリン系
薬剤耐性黄色ブドウ球菌 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) β-ラクタム薬への結合親和性の低下したペニシリン結合タンパク(PBP2') β-ラクタム,アミノグリコシド,マクロライド耐性(多剤耐性) 院内感染起因菌 易感染性患者に重篤な感染症 敗血症,肺炎,腸炎(消化器手術後),心内膜炎など 治療:バンコマイシン,テイコプラニン,アルベカシン,リネゾリド,ダプトマイシン
ブドウ球菌属 表皮ブドウ球菌 Staphylococcus epidermidis 0.5~1.5 mm,球菌,無鞭毛 通性嫌気性,食塩耐性 コアグラーゼ陰性,マンニット分解陰性,プロテインA陰性 皮膚の常在菌 心内膜炎,血管カテーテル感染症・・・病原性は弱い
レンサ球菌属 化膿レンサ球菌 Streptococcus pyogenes 0.5~1.0 mm,球菌,無鞭毛,通性嫌気性(耐気性嫌気性) A群レンサ球菌 β溶血性(完全溶血) 溶血毒素 streptolysin O(SLO),streptolysin S 血清学的診断 ← 抗SLO抗体 発赤毒素 → 全身の皮膚に紅斑(猩紅熱) Mタンパク質・・・定着因子,抗食菌作用 咽頭炎,猩紅熱, 膿皮症(表皮の化膿),丹毒(真皮の化膿性炎症) 劇症型A群レンサ球菌感染症,レンサ球菌毒素性ショック症候群(STSS) 突発的ショック,多臓器不全,敗血症 続発性疾患(二次感染):急性糸球体腎炎,急性リウマチ熱 治療:ペニシリン系
レンサ球菌属 アガラクティエ菌(B群レンサ球菌) Streptococcus agalactiae 咽頭部,腸管,膣常在菌 β溶血性 新生児髄膜炎,新生児敗血症 ← 産道感染 口腔レンサ球菌 S. salivarius,S. sanguinis(sanguis),S. mutans(虫歯菌)など 口咽頭常在菌
レンサ球菌属 肺炎レンサ球菌(肺炎球菌) Streptococcus pneumoniae 0.5~1.0 mm,双球菌(ランセット形),無鞭毛 通性嫌気性(耐気性嫌気性) 莢膜多糖 → 多糖抗原(85以上の型) α溶血性(部分溶血) 市中肺炎の代表的起因菌 中耳炎,敗血症,髄膜炎 治療:ペニシリン系,マクロライド系,キノロン系 予防:成分ワクチン
腸球菌属 腸球菌 Enterococcus faecium,E. faecalisなど 双状,短連鎖状球菌,通性嫌気性 腸管,外陰部の常在菌 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) Enterococcus faecium(VREF)など 多剤耐性菌 ペプチドグリカンのD-Ala-D-Ala → D-Ala-D-Lac,または D-Ala-D-Ala → D-Ala-D-Ser 易感染性宿主における腹膜炎,術創感染症,肺炎,敗血症 治療:リネゾリド,キヌプリスチン・ダルホプリスチン
バシラス属 炭疽菌 Bacillus anthracis 大型桿菌,連鎖配列,無鞭毛,組織内で莢膜 菌体中央部に楕円形芽胞,通性嫌気性 哺乳動物や鳥類の感染症 → ヒトに感染 炭疽(脾脱疽) 高熱 → 敗血症 皮膚炭疽・・・傷から菌が侵入,皮膚の潰瘍 肺炭疽・・・菌を吸入,肺炎,呼吸困難 腸炭疽・・・菌を経口摂取,胃腸炎 治療:抗菌薬感受性だが,進行が速く,治療困難
バシラス属 セレウス菌 Bacillus cereus 桿菌,周毛性鞭毛,菌体中央部に芽胞 通性嫌気性 土壌菌,食品腐敗菌 毒素型食中毒 セレウリド → 嘔吐,下痢 感染型食中毒 下痢,腹痛 枯草菌 Bacillus subtilis 桿菌(1 x 3~4 mm),連鎖状または単在, 周毛性鞭毛,好気性 菌体中央部に楕円形芽胞 土壌,枯草,空気中に存在 非病原性,遺伝子工学に利用,納豆の製造
クロストリジウム属 破傷風菌 Clostridium tetani 0.5~1.1 x 2.4~5.0 mm 桿菌~太鼓のバチ状 周毛性鞭毛,端在性の円形芽胞 偏性嫌気性,土壌菌 → 創傷から感染 破傷風毒素(テタノスパスミン) 抑制性シナプス遮断 → 強直性痙攣 破傷風:開口障害(牙関緊急),弓そり緊張(後弓反張) 全身の筋肉強直,呼吸困難 → 死亡率20~30% 治療:抗毒素(破傷風免疫ヒトグロブリン) 予防:破傷風トキソイド → 3種(4種)混合ワクチン
クロストリジウム属 ガス壊疽菌群 ガス壊疽:クロストリジウムによる筋炎 創傷感染 → 気泡を伴う急激な筋肉壊死 ウエルシュ菌 Clostridium perfringens 大型桿菌,無鞭毛,芽胞は楕円形で菌体中央~末端(亜端在性) 生体内で莢膜形成 偏性嫌気性,強い糖分解能,顕著なガス産生 土壌菌,腸内の常在菌 α毒素(ホスホリパーゼC)・・・溶血,壊死 ガス壊疽治療:高圧酸素療法,外科的治療,多価ウマ抗毒素,ペニシリン 感染型食中毒・・・β毒素(腸管毒)産生菌 ノビイ菌 C. novyi,セプチック菌 C. septicum
クロストリジウム属 ボツリヌス菌 Clostridium botulinum 大型桿菌,周毛性鞭毛,亜端在性の楕円形芽胞 偏性嫌気性,土壌菌 ボツリヌス毒素 → ボツリスム(ボツリヌス毒素中毒) 神経筋接合部アセチルコリン放出抑制 → 弛緩性麻痺 毒素型食中毒 致死率20% 乳児ボツリヌス症・・・吸乳力,筋力低下,呼吸困難 致死率3%以下 蜂蜜等 → 腸管内で発芽,増殖 治療:抗毒素血清,呼吸管理 予防:1歳未満の乳児に蜂蜜を与えない ディフィシレ菌 Clostridium difficile 大型桿菌,周毛性鞭毛,亜端在性の楕円形芽胞 偏性嫌気性,腸内の常在菌 菌交代現象による偽膜性大腸炎 治療:バンコマイシン内服
乳酸桿菌属 乳酸桿菌 Lactobacillus 桿菌,大部分が無鞭毛 土壌,植物など自然界に広く分布,ヒト粘膜の常在菌 通性嫌気性,嫌気条件で増殖促進,耐酸性 ホモ乳酸発酵 グルコース(C6) → 2×乳酸(C3) L. acidophilus,L. bulgaricus(ヨーグルト製造), L. casei,L. plantarum(チーズ製造)など ヘテロ乳酸発酵 グルコース(C6) → 乳酸(C3) + エタノール(C2) + CO2 L. brevis,L. buchneri(チーズ製造),L. fermentumなど デーデルライン桿菌・・・膣粘膜上で乳酸産生 → 病原菌の増殖阻止 L. casei,L. acidophilus,L. fermentumなど
リステリア属 リステリア Listeria monocytogenesなど 0.4~0.5 x 0.5~2.0 mm,小型の短桿菌,周毛性鞭毛 通性嫌気性 通性細胞内寄生性 → マクロファージ内で増殖 β溶血性 ← 溶血毒 listeriolysin O 土壌,腸管内など自然界に広く分布 周産期リステリア症 経胎盤感染 → 死産,早産 新生児髄膜炎 日和見感染症 → 髄膜炎,敗血症 食品媒介人獣共通感染症 ← 牛乳,乳製品,冷蔵食品
ユウバクテリウム属 ユウバクテリウム Eubacterium 0.3~2.0 x 0.3~10 mm,多形性桿菌 偏性嫌気性 ヒトの腸内常在菌 糖発酵 → 有機酸(酪酸,酢酸)産生 ベイヨネラ属 ベイヨネラ Veillonella 0.3~0.5 mm,グラム陰性球菌,無鞭毛 偏性嫌気性 グルコースは利用せず,乳酸を利用 口腔,消化管の常在菌
ペプトストレプトコッカス属 ペプトストレプトコッカス Peptostreptococcus 0.3~1.0 mm,連鎖状球菌 偏性嫌気性 口腔,上気道,大腸の常在菌 副鼻腔炎,中耳炎,創傷部,敗血症 他の嫌気性菌と混合感染
マイコプラズマ属 肺炎マイコプラズマ Mycoplasma pneumoniae 0.2~1.0 mm 孔径0.45 mmのフィルターを通過するものあり 細胞壁をもたない,多形性,無鞭毛 通性嫌気性,目玉焼き状コロニー 粘膜細胞に付着 ← 特殊構造(tip構造) マイコプラズマ肺炎 原発性異型肺炎の30~40% 血清診断: 受身凝集反応・・・抗原結合ゼラチン粒子 イムノカード法・・・酵素抗体法によるIgMの検出(定性) 治療:マクロライド,テトラサイクリン Mycoplasma hominis,Ureaplasma urealyticum 泌尿生殖器の常在菌 性感染 → 尿道炎
グラム陽性菌 Actinobacteria門
コリネバクテリウム属 ジフテリア菌 Corynebacterium diphtheriae 0.3~0.8 x 1~8 mm,多形性(棍棒状)桿菌 無鞭毛,好気性 異染小体(顆粒) ← ナイセル染色(アニリン系青色素) 咽頭炎,扁桃炎 → 偽膜性炎症 ジフテリア毒素 ADPリボシル化によるタンパク合成阻害 βファージのtox遺伝子 診断:亜テルル酸塩加血液寒天培地などによる分離培養,PCR 治療:エリスロマイシン 予防:トキソイドワクチン → 3種(4種)混合ワクチン Schickテスト・・・抗毒素抗体の確認 → 現在行われていない Moloneyテスト・・・トキソイドに対する遅延型アレルギー反応確認
プロピオニバクテリウム属 アクネ菌 Propionibacterium acnes 0.5~0.8 x 1~5 mm,多形性桿菌,無鞭毛 偏性嫌気性 皮膚の常在菌 → 尋常性痤瘡 ビフィドバクテリウム属 乳児の腸管内最優性菌種 ビフィズス菌 Bifidobacterium bifidum 0.5~1.3 x 1.5~8 mm,多形性桿菌,無鞭毛 偏性嫌気性 グルコース → 乳酸 + 酢酸
マイコバクテリウム属 細胞壁脂質(ミコール酸など)20~40% → R型疎水性集落 染色されにくく,染色されると塩酸アルコールの脱色に抵抗 → 抗酸菌 多形性,好気性 結核菌 Mycobacterium tuberculosis 0.3~0.6 x 1~4 mm,桿菌,無鞭毛 好気性,通性細胞内寄生性 飛沫核感染(空気感染),飛沫感染 初期変化群:細気管支,肺胞に感染巣, 肺門リンパ節に病変 → 諸臓器に散布(肺結核など) 肺結核: 咳,喀痰,喀血,胸痛,呼吸困難などの呼吸器症状 発熱,発汗,食欲不振,倦怠感などの全身症状 診断:ツベルクリン反応・・・遅延型過敏反応 QuantiFERON検査・・・インターフェロンγ ← 結核菌抗原 治療:リファンピシン,イソニアジドを含む多剤併用療法 予防:生ワクチン(BCG)
マイコバクテリウム属 ウシ型結核菌 Mycobacterium bovis ウシなどの家畜が保菌 → 牛乳などから感染 BCG:ウシ型結核菌弱毒株 非定型抗酸菌(非結核性抗酸菌) 結核菌群,らい菌以外の抗酸菌 大半がMAC(M. avium complex) 結核様肺疾患,頸部リンパ節炎,皮膚潰瘍など
マイコバクテリウム属 らい菌 Mycobacterium leprae 0.2~0.4 x 3~5 mm,桿菌,人工培養できない ハンセン病 患者の排泄物,分泌物からの接触感染 潜伏期:3~6年 らい腫型(LL型) 皮膚症状:紅褐色斑,丘疹,結節 神経症状:神経の肥厚 類結核型(TT型) 皮膚症状:隆起性紅斑 神経症状:知覚障害,神経の肥厚 治療:リファンピシン,クロファジミンの多剤併用療法
ノカルジア属 ノカルジア Nocardia asteroidesなど 菌糸状 → 分節 → 多形性桿菌 土壌菌,抗酸性,好気性 ノカルジア症 汚染土壌 → 創傷感染 菌腫,膿瘍 吸入感染 肺炎,肺膿瘍,膿胸・・・致命率高い 治療:ST合剤と他の抗菌薬の併用
ストレプトマイセス属 ストレプトマイセス Streptomyces griseusなど 分枝した菌糸 → 分生子 土壌菌,好気性 抗生物質生産菌が多い アクチノマイセス属 アクチノマイセス Actinomyces israeliiなど 分枝した菌糸 口腔内の常在菌,偏性嫌気性 アクチノマイセス症(放線菌症) 内因感染 → 皮膚の慢性化膿性炎症 治療:ペニシリンの長期投与
グラム陰性菌 Proteobacteria門
グラム陰性球菌およびグラム陰性球桿菌 Betaproteobacteria綱
ナイセリア属 淋菌 Neisseria gonorrhoeae 0.6~1.0 mm,双球菌,線毛をもつ 無鞭毛,好気性 淋病・・・尿道炎,前立腺炎 性感染症(STD) 新生児淋菌性眼結膜炎(膿漏眼) 産道感染 診断:好中球の中に双球菌 治療:セフトリアキソン,スペクチノマイシン
ナイセリア属 髄膜炎菌 Neisseria meningitidis 形状は淋菌とほぼ同じ,莢膜をもつものが多い 上気道の常在菌 気道から菌が侵入 → 上気道粘膜細胞への定着 菌血症・・・致死率15~25% WaterhouseーFriderichsen症候群(劇症型) 両側副腎に病変 播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴うショック 髄膜炎(流行性脳脊髄膜炎) 発熱,頭痛,嘔吐,頸部硬直 治療:ペニシリン系,セフトリアキソン,セフォタキシム
バークホルデリア属 鼻疽菌 Burkholderia mallei 0.5~1.0 x 1.5~3.0 mm,好気性桿菌,無鞭毛 ウマ科の感染症 → 経皮,経気道感染 皮膚病変,肺炎,敗血症 日本における発生報告はない 類鼻疽菌 Burkholderia pseudomallei 0.4~0.8 x 2~5 mm,好気性桿菌,叢毛性鞭毛 土壌,水 → ヒト,家畜に経皮,経気道感染 敗血症,化膿性臓器疾患 治療:カルバペネムなど Burkholderia cepacia 院内感染菌,消毒薬・抗菌薬抵抗性 0.02%クロルヘキシジン液中で生存・増殖 予防:消毒薬使用法の改善
ボルデテラ属 百日咳菌 Bordetella pertussis 0.2~0.5 x 0.5~1.0 mm,無鞭毛 好気性小型球桿菌 毒力の強いものは莢膜,線毛をもつ 百日咳・・・幼児の急性呼吸器感染症 痙攣性咳嗽(がいそう:咳) 百日咳毒素 ADPリボシル化による気管繊毛上皮細胞の破壊 治療:マクロライド系 予防:成分ワクチン 3種(4種)混合ワクチン
アルカリゲネス属 アルカリ糞便菌 Alcaligenes faecalis 0.5~1.0 x 0.5~2.6 mm,桿菌または球菌,周毛性鞭毛 好気性,土壌,水系,ヒト腸管の常在菌 日和見感染 → 尿路感染症,敗血症など スピリルム属 大型の微好気性らせん状菌,両極に叢毛性鞭毛をもつ 鼠咬症スピリルム Spirillum minus 分類学的にはスピリルム属ではない 0.2 x 3~5 mm,らせん菌(2~3回転),両極に鞭毛 通性嫌気性,ネズミが保菌 → 咬傷感染 鼠咬症,鼠毒・・・発熱,咬傷部の炎症,所属リンパ節の腫脹 治療:ペニシリン,テトラサイクリン系
グラム陰性好気性桿菌 Gammaproteobacteria綱
シュードモナス属 緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa 0.5~0.8 x 1.5~3.0 mm,桿菌,極毛性鞭毛,莢膜をもつ 好気性,土壌,水系,動物など自然界に広く分布 緑色色素(pyocyanin),蛍光色素(fluorescein)を産生 化膿性疾患,尿路感染症,気道感染症,敗血症 毒力は弱く,健常人への感染は少ない 多くの抗菌薬に耐性 ← 薬剤排出ポンプ 治療:ピペラシリン,抗緑膿菌セフェム,カルバペネム,キノロン 多剤耐性緑膿菌(MDRP)・・・カルバペネム,キノロン,アミノグリコシド耐性
モラクセラ属 モラクセラ Moraxella catarrhalisなど 0.6~1.0 mm,球菌,無鞭毛,線毛をもつ 好気性,鼻腔粘膜の常在菌 肺炎,中耳炎,副鼻腔炎 ペニシリナーゼ産生菌が多い 治療:キノロン,セフェム
アシネトバクター属 アシネトバクター Acinetobacter calcoaceticusなど 0.9~1.6 x 1.5~2.5 mm,桿菌 → 球菌(定常期) 好気性,土壌,水系に広く分布 日和見感染菌 → 院内感染 β-ラクタム抵抗性 多剤耐性アシネトバクター カルバペネム,アミノグリコシド,キノロン耐性
レジオネラ属 レジオネラ・ニューモフィラ Legionella pneumophila 0.3~0.9 x 2~20 mm,桿菌~フィラメント状 極毛性鞭毛,好気性 土壌菌,アメーバに寄生して増殖 通性細胞内寄生性 レジオネラ症 ポンティアック熱・・・インフルエンザ様症状 レジオネラ肺炎(在郷軍人病) 重症化しやすい 治療:マクロライド,キノロン(β-ラクタムは無効)
フランシセラ属 野兎病菌 Francisella tularensis 0.2 x 0.2~0.7 mm,小型球桿菌,多形性,無鞭毛 偏性嫌気性,野生動物が保菌 野兎病・・・人獣共通感染症 接触感染,経気道感染,経口感染 ベクター(昆虫・ダニ)媒介感染 発熱,リンパ腫脹,皮膚潰瘍,肺炎 治療:ストレプトマイシン,ミノサイクリン
コクシエラ属 Q熱コクシエラ Coxiella burnetii 0.2~0.4 x 0.4~1.0 mm,小桿菌,大型菌体 → 内生胞子 偏性寄生性 Q熱 人獣共通感染症・・・家畜,野生動物に不顕性感染 経気道感染,経口感染,ダニ媒介感染 急性Q熱・・・インフルエンザ様症状 慢性Q熱・・・心内膜炎 治療:テトラサイクリン系