1 / 11

徒 然 草

徒 然 草. 徒然草 第十一段  神無月の ころ  神無月の ころ、 栗栖野といふ所を 過ぎて、 ある山里 にたづね入ること侍り しに、遥かなる苔の細道を踏み分けて、 心細く住み なしたる庵 あり。 木の葉 に うづ もるる筧の滴ならでは、つゆ音なふ もの なし。 閼伽棚に菊・紅葉 など折り散らしたる、 さすがに、住む人のあればなるべし。  かくて も あられけるよとあはれに見るほど に、 かなたの庭に、大きなる柑子の木 の、 枝も たわわに なりたるが 、周りを厳しく囲 ひたりしこそ、 少し事冷めて 、この木なからましかばと覚え しか。. 徒然草 第五十六段  久しく隔り て

Télécharger la présentation

徒 然 草

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 徒 然 草

  2. 徒然草 第十一段 神無月のころ  神無月のころ、栗栖野といふ所を過ぎて、ある山里にたづね入ること侍りしに、遥かなる苔の細道を踏み分けて、心細く住みなしたる庵あり。木の葉にうづもるる筧の滴ならでは、つゆ音なふものなし。閼伽棚に菊・紅葉など折り散らしたる、さすがに、住む人のあればなるべし。  かくてもあられけるよとあはれに見るほどに、かなたの庭に、大きなる柑子の木の、枝もたわわになりたるが、周りを厳しく囲ひたりしこそ、少し事冷めて、この木なからましかばと覚えしか。

  3. 徒然草 第五十六段 久しく隔りて  久しく隔りて会ひたる人の、我が方にありつること、数々に残りなく語り続くるこそあいなけれ。隔てなく慣れぬる人も、ほど経て見るは、恥づかしからぬかは。次ざまの人は、あからさまに立ち出でても、今日ありつることとて、息もつきあへず語り興ずるぞかし。 よき人の物語するは、人あまたあれど、一人に向きて言ふを、おのづから人も聞くにこそあれ。よからぬ人は、誰ともなく、あまたの中にうち出でて、見ることのやうに語りなせば、皆同じく笑ひののしる、いとらうがはし。 をかしきことを言ひてもいたく興ぜぬと、興なきことを言ひてもよく笑ふにぞ、品のほど計られぬべき。  人の身ざまのよしあし、才ある人はその事など定め合へるに、おのが身をひきかけて言ひ出でたる、いとわびし。

  4. 徒然草 第七十三段 世に語り伝ふること  世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言なり。  あるにも過ぎて人はものを言ひなすに、まして年月過ぎ、境も隔たりぬれば、言ひたきままに語りなして、筆にも書きとどめぬれば、やがてまた定まりぬ。道々のものの上手のいみじきことなど、かたくななる人の、その道知らぬは、そぞろに神のごとくに言へども、道知れる人は更に信も起こさず。音に聞くと見る時とは、何事も変はるものなり。

  5. 徒然草 第七十八段  今様のことども  今様のことどもの珍しきを、言ひ広めもてなすこそ、また受けられね。世に言古りたるまで知らぬ人は心憎し。 今更の人などのある時、ここもとに言ひつけたる言ぐさ、物の名など、心得たるどち、片端言ひ交はし、目見合はせ、笑ひなどして、心知らぬ人に、心得ず思はすること、世慣れず、よからぬ人の、必ずあることなり。

  6. 徒然草 第八十五段 人の心素直ならねば  人の心素直ならねば、偽りなきにしもあらず。されどもおのづから正直の人、などかなからん。己素直ならねど、人の賢を見て羨むは、尋常なり。至りて愚かなる人は、たまたま賢なる人を見て、これを憎む。「大きなる利を得むがために少しきの利を受けず、偽り飾りて名を立てむとす」とそしる。己が心に違へるによりて、このあざけりをなすにて知りぬ。この人は下愚の性移るべからず。偽りて小利をも辞すべからず、仮にも賢を学ぶべからず。  狂人のまねとて大路を走らば、すなはち狂人なり。悪人のまねとて人を殺さば、悪人なり。驥を学ぶは驥のたぐひ、舜を学ぶは舜の徒なり。偽りても賢を学ばむを賢といふべし。

  7. 徒然草 第八十九段 奥山に、猫またといふものありて、人を食らふなる 「奥山に、猫またといふものありて、人を食らふなる」と、人の言ひけるに、「山ならねども、これらにも、猫の経上りて、猫またになりて、人取る事はあなるものを」と言ふ者ありけるを、何阿弥陀仏とかや、連歌しける法師の、行願寺の辺にありけるが聞きて、一人歩かむ身は心すべきことにこそと思ひけるころしも、ある所にて夜更くるまで連歌して、ただ一人帰りけるに、小川の端にて、音に聞きし猫また、過たず、足元へふと寄り来て、やがて掻き付くままに、頚のほどを食はむとす。肝心も失せて、防がむとするに力もなく、足も立たず、小川へ転び入りて、「助けよや、猫また、よや、よや」と叫べば、家々より、松どもともして、走り寄りて見れば、このわたりに見知れる僧なり。「こはいかに」とて、川の中より抱き起したれば、連歌の賭け物取りて、扇・小箱など懐に持ちたりけるも、水に入りぬ。希有にして助かりたるさまにて、はふはふ家に入りにけり。飼ひける犬の、暗けれど主を知りて、飛び付きたりけるとぞ。

  8. 徒然草 第九十二段 或人、弓射る事を習ふに ある人、弓射ることを習ふに、諸矢をたばさみて的に向かふ。師のいはく、「初心の人、二つの矢を持つことなかれ。後の矢を頼みて、初めの矢になほざりの心あり。毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ」と言ふ。わづかに二つの矢、師の前にて、一つをおろかにせむと思はんや。懈怠の心、みづから知らずといへども、師これを知る。この戒め、万事にわたるべし。  道を学する人、夕べには朝あらむことを思ひ、朝には夕べあらむことを思ひて、重ねてねんごろに修せむことを期す。いはむや、一刹那のうちにおいて、懈怠の心あることを知らむや。なんぞただ今の一念において、直ちにすることの甚だ難き。

  9. 徒然草 第百九段 高名の木登り  高名の木登りといひし男、人をおきてて、高き木に登せて梢を切らせしに、いと危ふく見えしほどは言ふこともなくて、降るる時に、軒長ばかりになりて、「過ちすな。心して降りよ」と言葉をかけ侍りしを、「かばかりになりては、飛び降るるとも降りなん。いかにかく言ふぞ」と申し侍りしかば、「そのことに候ふ。目くるめき、枝危ふきほどは、己が恐れ侍れば申さず。過ちは、やすき所になりて、必ず仕ることに候ふ」と言ふ。  あやしき下臈なれども、聖人の戒めにかなへり。鞠も、難きところを蹴出だして後、やすく思へば、必ず落つと侍るやらむ。

  10. 徒然草 第百十七段 友とするにわろきもの  友とするにわろきもの七つあり。一つには高くやんごとなき人。二つには若き人。三つには病なく身強き人、四つには酒を好む人、五つにはたけく勇める兵、六つには、虚言する人、七つには欲深き人。  よき友、三つあり。一つには 物くるる友、二つには医師、三つには智恵ある友。

  11. 徒然草 第百七十段さしたることなくて さしたることなくて人のがり行くは、よからぬことなり。用ありて行きたりとも、そのこと果てなば、とく帰るべし。久しくゐたる、いとむつかし。  人と向かひたれば、詞多く、身もくたびれ、心も閑かならず、よろずのこと障りて時を移す、互ひのため益なし。いとはしげに言はむもわろし。心づきなきことあらむ折は、なかなか、その由をも言ひてむ。同じ心に向かはまほしく思はむ人の、つれづれにて、「今しばし。今日は、心閑かに」など言はむは、この限りにはあらざるべし。阮籍が青き眼、誰にもあるべきことなり。  そのこととなきに人の来たりて、のどかに物語して帰りぬる、いとよし。また、文も、「久しく聞こえさせねば」などばかり言ひおこせたる、いとうれし。

More Related