1 / 21

第 11 章 低開発と貧困削減

第 11 章 低開発と貧困削減. 貧困とは何か? どうすれば貧困を減らせるのか?. 11.1 世界の貧困の現状と ケイパビリティ・アプローチ. a 絶対的貧困層の推移から 見 る世界の貧困状況. 開発経済学での当初のとらえ方 → 「物質的欠如としての貧困」 所得貧困 食料貧困. 貧困とは?. 絶対的貧困層 → 1 日 1 ドル以下の収入で生活. 世界には 絶対的貧困層 が 2004 年時点で約 9 億 7000 万人いると推計されて おり,これは 世界全体では減少傾向にある. 2.

selma
Télécharger la présentation

第 11 章 低開発と貧困削減

An Image/Link below is provided (as is) to download presentation Download Policy: Content on the Website is provided to you AS IS for your information and personal use and may not be sold / licensed / shared on other websites without getting consent from its author. Content is provided to you AS IS for your information and personal use only. Download presentation by click this link. While downloading, if for some reason you are not able to download a presentation, the publisher may have deleted the file from their server. During download, if you can't get a presentation, the file might be deleted by the publisher.

E N D

Presentation Transcript


  1. 第11章 低開発と貧困削減 貧困とは何か? どうすれば貧困を減らせるのか?

  2. 11.1世界の貧困の現状とケイパビリティ・アプローチ11.1世界の貧困の現状とケイパビリティ・アプローチ a 絶対的貧困層の推移から見る世界の貧困状況 開発経済学での当初のとらえ方 →「物質的欠如としての貧困」 • 所得貧困 • 食料貧困 貧困とは? 絶対的貧困層→1日1ドル以下の収入で生活 世界には絶対的貧困層が2004年時点で約9億7000万人いると推計されており,これは世界全体では減少傾向にある 2

  3. (出所)Shaohua Chen and Martin Ravallion, “Absolute Poverty Measures for the Developing World, 1981-2004” , World Bank Policy Research Working Paper 4211, April 2007より作成. • 地域別に見ると、絶対的貧困層は、東アジア・太平洋諸国は減少しているが, 南アジア諸国は横ばい,サブサハラアフリカ諸国では増加している • 絶対的貧困層の域内人口比率は,東アジア・太平洋諸国では大きく低下, 南アジアでは漸減,サブサハラアフリカ諸国ではほとんど変化がない 表11-1 絶対的貧困層の地域別の人数(上段)と域内人口に占める比率(下段) 3

  4. サブサハラアフリカ諸国の立ち後れが目立つ 表11-2 地域別の貧困状況 (出所)国連開発計画『人間開発報告書 2007/2008』 阪急コミュニケーションズ,2008年,より作成. 4

  5. b 貧困認識の深化―ケイパビリティ・アプローチb 貧困認識の深化―ケイパビリティ・アプローチ 「物質的欠如としての貧困」→1人当たりの国民所得の増大を通じた貧困削減をめざす しかし • 相対的貧困についても考慮の必要性あり ( 1人当たりの国民所得は平均でしかない,貧困削減には一国内での所得分配も重要) • 所得水準による貧困測定が必ずしも適切ではない 貧困とは基本的なケイパビリティの絶対的な剥奪状態のことである アマルティア・セン ケイパビリティ: ファンクショニング(財・サービスを用いて人がなしうる状態や行動)の総体 各人の身体状況,性,年齢,場所などに影響を受ける 所得はケイパビリティを拡大する重要な手段だが唯一の手段ではない! ケイパビリティ・アプローチ • 各人が置かれた状況によって異なる貧困の多様性への配慮を重視 • (所得増大よりも)人間の可能性の幅を拡大していくことこそが,開発の真の目的 5

  6. 11.2 開発の思想と実践ーー構造主義から開発のミクロ経済学まで11.2 開発の思想と実践ーー構造主義から開発のミクロ経済学まで a構造主義ーーシンガー=プレビッシュ命題と輸入代替工業化(ISI) • コモド・コントロール構想:ケインズが提唱 →1930年代の一次産品価格下落による植民地の経済的困窮をうけて生み出された • シンガー・プレビッシュ命題:一次産品の価格下落は,一次産品輸出国(途上国)の交易条件を,工業製品輸出国(先進国)に対して長期的に悪化させる 原因①一次産品の需要の所得弾力性や需要の価格弾力性が低い    ②先進国は二重の利益を得る一方,途上国は二重の不利益を被る(下図参照) 工業製品 技術革新の利益 所得の増加 生産者(=先進国)の利益 一次産品価格の低下 消費者(=先進国)の利益 一次産品 6

  7. シンガー=プレビッシュ命題 • 途上国の工業化への開発政策を後押し • 政府主導の輸入代替工業化(ISI)の背景要因に 当時考えられていた途上国開発の阻害要因 • 供給面で制約を抱えている • 市場経済の未発達 構造主義 途上国の,先進国との経済構造の異質性を強調しつつ、政府主導の工業化で経済発展をめざす 7

  8. b 政治・社会・制度ーークズネッツとミュルダールの開発思想 初期の開発経済学者のもう1つの特徴は,開発を,経済に加えて, 政治や社会の変化も含めて総合的にとらえようとした点にあった。 サイモン・クズネッツ • 近代経済成長の概念を提示 →都市化や法制度の発達など社会・政治・文化・思想を包括したプロセスで,制度とイデオロギーの変革を伴うとした グンナー・ミュルダール • 途上国の経済発展には,農地改革や教育制度改革など,一国の社会経済構造の総合的変革が必要だとした。 • 軟性国家(政治腐敗が著しい国)という概念を提起。 →途上国の政策遂行能力や開発援助の役割への楽観論を戒めた。 これはガバナンス(統治)を重視する 近年の開発経済学の論点の先取りともみなせる 8

  9. c 新古典派ーー輸出志向工業化(EOI)と農業近代化 • 輸入代替工業化(ISI)の問題点: ①マクロ経済を不安定化させたほか,企業経営の非効率にした ②第1次輸入代替(非耐久消費財の輸入代替)は成功しやすいが,いずれ国内需要上の限界につきあたる。ここで輸入代替工業化を継続しようとすれば,第2次輸入代替(耐久消費財や,中間財・資本財の輸入代替)に進まざるをえない→高度な技術や多額の資本が必要になるが,途上国ではこれらを欠いていることが多く,経済パフォーマンスが悪化した ③社会経済的な歪みが発生した(不平等,失業,環境悪化,貧困層の増大など) これらの諸問題に対し、新古典派は 輸出志向工業化(EOI)の優位性を対置 9

  10. 輸出志向工業化(EOI) とは? ①第1次輸入代替(非耐久消費財の輸入代替)が,国内需要上の限界につきあたった時点で,輸入自由化を進めて競争力を高めつつ,非耐久消費財の生産拡大を続け,これを輸出でさばく。こうして雇用も増加する ②労働集約的な非耐久消費財の輸出が増え,中間財や資本財の需要が増加するなかで,この生産も開始され,結果として第2次輸入代替が実現する *新古典派によれば,EOIは東アジア(特に韓・台)で観察されたほか,EOIの採用国では工業化と貧困削減とが同時に達成された,という 10

  11. 農業近代化 • 構造主義者は工業化を重視 (農業発展戦略は手薄) しかし 途上国の経済発展には農村・農業部門の発展が必要 (途上国の人口の大部分は農業部門に従事しているため) T・シュルツ • 農業近代化論を提示 • 近代的技術体系(肥料,農機具など)を途上国に持ち込む ⇒収益向上の見通しが高まれば,農民は,価格インセンティブに反応し, 増産に励むようになる,と主張した。 <具体的な政策>緑の革命による農業近代化 シュルツの議論は新古典派の主張の根拠となった。また,ミクロ経済主体への着目を促した点に特徴がある 11

  12. d 改良主義とBHN戦略 改良主義 • 雇用の増加 • より公平な所得分配 • ベーシック・ヒューマン・ニーズ(BHN)の充足を重視 BHNの定義 ①衣食住および家庭に必要な設備・サービス ②公衆衛生や公共輸送手段といった社会的なサービス ③十分な報酬のある雇用機会 ④人間的な環境の充足と意思決定過程への人々の参加 12

  13. 改良主義の背景 • 工業化によるトリックル・ダウンが思うように実現しなかった • 不平等の拡大,貧困層の増加などがめだち始めた 雇用拡大による失業減や収入向上が企図された 改良主義の特色 経済成長をもって開発とせず,人間福祉の向上という開発の本来の目的の達成のために開発戦略の見直しを迫った点 13

  14. e 累積債務問題と構造調整プログラム(SAP)e 累積債務問題と構造調整プログラム(SAP) 累積債務問題 1982年のメキシコ政府による債務支払い猶予の要請をきっかけに注目された IMFの途上国への要請 • 経常収支の改善 • インフレ抑制 • 財政赤字の削減 世界銀行 • 構造調整融資を実施 ⇒経済の再建と債務の返済を促した 構造調整プログラム:IMFと世銀が提示した政策の合体物 経済効率向上のために自由化と規制緩和を行うこの 新自由主義的な考えはワシントン・コンセンサスとも呼ばれる 14

  15. f 新しい開発経済学ーー開発のミクロ経済学と政府の役割f 新しい開発経済学ーー開発のミクロ経済学と政府の役割 開発のミクロ経済学 • 不完全情報下でのミクロ経済主体の行動原理を分析 Ex.)分益小作制の理論 • どのような政策が貧困削減に効果的かを解明 近年の開発経済学 ミクロ的側面に焦点を当てた 貧困削減政策の分析と推進 < マクロ的な経済成長 新古典派は構造調整プログラム(SAP)として自由化を主張したが, よく機能する良い市場を発達させるためには良い政府が必要なので, 経済発展における政府の役割も再認識された 15

  16. 11.3貧困削減の新たな展開と開発をめぐる今後の課題11.3貧困削減の新たな展開と開発をめぐる今後の課題 a 参加型貧困評価(PPA)にみる貧困の特徴 1990年代に、世銀が世界50カ国以上で行った参加型貧困評価(PPA)から明らかになった貧困の特徴 ①貧困は多面的現象である ②物質的豊かさを満たすために必要な食料、住居、土地などが欠けている ③意見を言えず、無力で、社会的関係から切断されている ④基礎的インフラが欠如している ⑤病気をおそれている ⑥人的・社会的資産がないため危機に陥った時に生活が影響を受けやすい • 経済成長も重要だが、(むしろ)所得を向上できる機会の拡大、社会参加の力をつけること,病気や自然災害に対する保障の強化などが,貧困削減には必要 • 貧困に苛まれる当事者自身が問題を発見し,力をつけつつ,その問題に取り組んでいくことを後押しする参加型開発のアプローチも重要 16

  17. b 貧困削減の取組みの新展開 ーーHIPCイニシアティブ・PRSP・MDGs • HIPCイニシアティブ重債務貧困国(HIPC)の債務救済プログラム • 貧困削減戦略文書(PRSP)    各国が、貧困削減を中心に自国の抱える開発課題と,その対策を示した文書 • ミレニアム開発目標(MDGs)2015年までに世界が達成すべき開発目標8項目 • MDGsの障害としてガバナンスの脆弱性や政策担当者の無知が挙げられている 表11-3 ミレニアム開発目標(MDGs)の目標とターゲットおよび指標 (出所)外務省「ミレニアム開発目標」(Millenium Development Goals : MDGs) http://www.mofa.go.jp/Mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.htmlより作成. 17

  18. c 人間開発論と人間開発指数(HDI) • 人間開発論の定義「人々の選択の幅を拡大すること」 (UNDP) ①健康で長生きすること ②知的欲求が満たされること ③一定水準の生活に必要な資源へのアクセス手段を確保できること が重要視されている • 人間開発の測定尺度として、各国毎に人間開発指数(HDI)が • 算出されており,順位も公表されている • 人間開発論は,開発の目的や中身を問う点で改良主義の系譜に • 位置づけられる。ただし人間開発論は,人間の選択の自由や社会参加, • エンパワーメントなどをより重視している 18

  19. d 市民主導型開発 ーーフェアトレード(FT)とマイクロクレジット(MC) • FT:貿易を通して現地の社会開発や人々のエンパワーメントを促進する • MC:自立可能な生活基盤を確立するための生産的活動に必要な資金を貸与する FT MC エンパワーメント重視の開発戦略 19

  20. e 復興支援・平和構築と人間の安全保障 ①貧困削減および開発のために必要な基礎的能力の提供や,国民の安全や人権を守る意思や能力を欠いている脆弱国家への対処 ②復興支援・平和構築の実践→紛争と停戦が繰り返される(「紛争の罠」)中で,紛争をいかに防止するのか ③人間の安全保障→いかにして人間はさまざまな恐怖と欠乏から逃れ,安定した生活を送れるようになるのか  貧困の削減には治安の確保が大前提。そのうえで,良い政府による良い市場の形成,そしてなにより貧困層に直接届くような的を絞ったきめ細かな政策が重視されるべき 20

  21. コーヒーのバリューチェーン(価値連鎖)分析 図11-1 ウガンダのコーヒーがイタリアの店頭にならぶまでの取引価格の推移(2001年) (注)最終小売価格=100 (出所) Benoit Daviron and Stefano Ponte, The Coffee Paradox, Zed Books, 2005, p.208より作成. 21

More Related